ランドセル販売では、ZoomとLINEで接客
コロナ禍における同社の試みで、5月、ひと足先にトライアルでスタートを切っていたのが、LINEおよびZoomを活用したサポートサービス。第1弾の対象として選んだ商材は「ランドセル」でした(~8月4日。8月11日からは伊勢丹新宿店6階にて実施予定)。
前者では、LINE WORKSのチャット機能を使用。「2020年(21年4月の新入生向け)は、どんな色のランドセルがお薦めですか?」といった顧客のさまざまな質問に、担当者がワントゥワンで(テキストで)回答します。
他方、後者で使用するのは、Zoomのオンライン会議システム。画面を見ながら、「水色系のランドセルを、ほかにも見せてくれませんか?」など、販売員に対する具体的な商品相談ができます。こちらは公式LINE上での事前予約が必要ですが、予約確認の際、見てみたいポイントなどの事前ヒヤリングを済ませているため、「ご利用時間の40分間で、ひと通りの接客が可能です」と新宿子供営業部の杉澤元一さん。
ところで、画期的なサービス導入の第1弾が、なぜ「ランドセル」だったのでしょう。
「ラン活」シーズン直前に緊急事態宣言
実は4~5年前まで、ランドセル商戦のピークは「夏休み」とされていました。ですが「ラン活(ランドセルの購買活動)」のキーワードが飛び交うようになったこの1~2年は、ゴールデンウイーク前後が一つの山場に。つまり本来ならかき入れ時であるはずの5~6月を目前に、まさに緊急事態宣言が発令されてしまったのです。
「しかもランドセルは、お子さまも含めた二世代、三世代でご一緒に選ばれるケースがほとんど。接客時間も長くなる傾向にあり、コロナ禍での来店に不安を感じる方も多いだろうと予測しました」(杉澤さん)
オンライン接客での成約率は約5割
LINEやZoomを介した顧客とのやり取りは、通常の店頭販売とは「ツボ」が大きく違うようにも思いますが……、杉澤さんいわく「スタートしてみて、基本はリアルの接客とほとんど同じだと実感しました」とのこと。
扱う商材や顧客のデジタル環境・経験などによって多少の違いはあるものの、接客時に重要なのは「お客さまに寄り添う姿勢」だといいます。
たとえば「背負ったときの重さが知りたい」という顧客に、「○キログラム」との数字だけでなく、「500ミリリットルのペットボトルで、×本分ぐらいです」など、身近な分かりやすいモノに例えて伝えるようにするなど。
伊勢丹新宿店が販売するランドセルは、中心価格帯が6万~8万円台と決して安くはありません。オンラインでの接客後、「店舗でもう一度見てみたい」と来店する顧客もいるそうですが、最終的な制約率は約5割と、こちらもかなりの高確率だそうです(7月20日現在)。