「数字で考える力」は仕事の武器になる
第2位は『「数字で考える」は武器になる』です。「文系だから」「数学は苦手だから」と、数字に苦手意識を持っている人は少なくありません。ですが本書を読むと、その苦手意識によって失ってきたものの大きさに驚かされるでしょう。「数字で考える」ことは武器であり、数字を放棄するということは、武器を放棄するということに等しいのです。
本書の著者によると、「数字で考える」とは「四則演算を使うこと」だといいます。そう聞くと、「それだけで足りるのだろうか? 論理的思考や分析力のほうが重要なのでは?」と思うかもしれません。ですが「数字で考える力」とは、単なる計算力にとどまらず、やるべき仕事を的確に把握し、能力を最大限に発揮しつつ、周囲にもきちんとアピールするための、強力なサポートになるのです。
数字を足がかりに仕事へ向き合えば、生産性が上がることはもちろん、目標達成にも大きく貢献するでしょう。また、数字で考える習慣は、発信力や求心力など、マネジメントに必要な能力の向上にも通じるはず。特に自分を「文系」だと思っている人に、手にとっていただければと思います。
「交渉」の原則は3つに集約される
第3位には、橋下徹氏の『交渉力』がランクインしました。橋下氏がさまざまな修羅場をくぐる中で体得した「交渉術」が、この一冊にまとまっています。
交渉は単なる押し引きではないし、時間をかけて粘るものでもない、ましてや感情に訴えてどうにかするものでもありません。橋下氏によると、交渉の原則は「利益を与える/譲歩する」「合法的な脅しを使う」「お願いする」の3つに集約されるそうです。そのためには、なによりも自分自身と相手の価値観を、より深く理解する姿勢が必要になります。交渉とは相手との闘いというだけでなく、自分との闘いでもあるというわけです。
交渉のやり方を学ぶ機会はそう多くありません。ですが仕事に限らず、日常のあらゆる場面で「交渉ごと」はやってきます。「交渉は苦手」「交渉は自分には関係ない」と思っている人こそ、本書から得られる学びは大きいでしょう。