儲け優先、相場テーマに乗った投信は排除
投資信託協会によると2008年10月末の純資産額は前月末比で11兆円以上減少し、53兆8001億円。純資産額の減少のうち、5兆2919億円が解約によるものだったという。
こうした状況を見て、やっぱり投信はダメ、投資は怖いと不安を感じている人も多いだろう。だが、それよりももっと大きな不安が私たちを待っている。給料は増えないどころか減るかもしれず、年金も当てにならない。にもかかわらず、資産運用もせずに生活基盤を固め、老後の生活設計を立てることはほぼ不可能だ。再び超低金利時代に戻りつつあるいま、やはり資産運用は必要で、投信はその手立ての一つであることにまったく変わりない。
今回の株価暴落は、個人投資家にとって、最良の学習の場となった。それは、「儲けたい」気持ちで取り組むと必ず失敗するということだ。「儲けたい」の裏返しは「損をしたくない」であり、今回のような暴落時には本能的に売り急いでしまう。結果的に安値で売ってしまい、多額の損害を被ることになるからだ。
儲けだけを優先した運用スタイルの投信も要注意だ。
例えば、「ロング・ショート型ファンド」はその典型。割安な銘柄を買い建てるとともに割高な銘柄を売り建てることで、どんな相場環境でも利幅が取れるという夢のような商品だが、今回のような異常事態にはまったく対応できなかった。むしろ値上がりするはずの銘柄が下がり、売りで儲けようとした銘柄が値上がりする事態が起きたため、売りと買いのダブルで損をする始末だ。