社員から個人事業主になって、多様でフリーな働き方を進める「日本活性化プロジェクト」を進めるタニタ。プロジェクトが始まって約3年。参加社員の希望と不安、制度の課題と対策、これからの展望など、さまざまなアプローチからこの新しい試みを取材しました。
タニタ本社にある、これが“本家”のタニタ食堂。個人事業主となったあとも、続けて食堂が利用できるのがメリットだ。
タニタ本社にある、これが“本家”のタニタ食堂。個人事業主となったあとも、続けて食堂が利用できるのがメリットだ。

能力もやる気も高い社員のモチベーションアップに

体組成計や体脂肪計など健康計測機器の生産と販売、さらには「タニタ食堂」の展開でもおなじみのタニタ。現在の社長である谷田千里たにだせんりさんが2017年1月から始動させた「日本活性化プロジェクト」が、今注目を浴びている。簡単にいうと、同プロジェクトに参加したい社員は、会社を辞めて個人事業主となり、その後タニタと契約して働くというシステムだ。

社長 谷田千里さん
社長 谷田千里さん

谷田さんが社長に就任した08年は、タニタの体組成計市場でのシェアが下がり、業績も悪化していた。このまま業績が下がり続けたら、優秀な社員が会社から離れてしまうのではないかと谷田社長は危惧した。近年の、残業時間の減少など労働時間の短縮ばかりに焦点があてられる風潮にも疑問があった。

「残業などの過重労働は、国の制度上規制しないといけません。しかしここ一番の頑張りどころや、スキルを上げていこうというときにもっと働きたい場合はどうしたらいいのか? 彼らの努力が報われるようなシステムを作って、相応の報酬を払えば、働くモチベーションが上がるのではないかと考えました」