「プラスワン」の声かけを心がけて

学校の先生や塾の講師が成績表に書くコメントは、すべてその発想からきています。成績状況については一言ぐらい厳しいことを書いたとしても、その子のなかに芽生え始めているいい芽を見つけて、必ずプラスのコメントで締めくくるわけです。

親子においてもプラスとマイナスをやりとりしながら、子どもの能力を伸ばしていけたらベストだと思います。子どもはお母さんからマイナスの指摘を受けたら、自分で努力をしてプラスを生みだす。すると、最初にお母さんから受けたマイナスが消えます。ところが、努力したのにテストでは力を発揮できなかった。ここでまた子どもにマイナスが生まれます。

橋本憲一『灘中に合格する子は学力のほかに何を持っているのか』(ポプラ社)
橋本憲一『灘中に合格する子は学力のほかに何を持っているのか』(ポプラ社)

でも、報われなかった努力をお母さんに褒められることでプラスが加わり、プラス・マイナスはまたゼロになります。このように親子でプラスとマイナスを滞ることなくやりとりすることが、子どもを伸ばすよい循環になるのです。

そしてできれば、プラスマイナスゼロではなく、子どもに「プラスワン」が残るような形で、親はフォローしてあげてほしいと思います。子どもが自分で何かをしようとしたこと、そして、その後の結果をきちんと認めてあげること。これを心がけてほしいのです。

この親の少なくともプラスマイナスゼロ、できるだけプラスワンが残るような声かけ戦術は、子どもの「学びの器」をより強固なものに仕上げていくのは間違いありません。

【関連記事】
子どもの勉強意欲と自己肯定感を下げる「ありがちな親のNG声がけ」3つ
「9歳で数検1級合格」天才小学生が愛用するYouTubeチャンネルの名前
都心で急増する"金遣いの荒い若者"の正体
全ての「頭がいい人」に当てはまる唯一の共通点
「SSK」「愛愛名中」…なぜ愛知は地元大学への進学率が高いのか