コロナで株価下落の今、投資をスタートする意味

歴史を振り返ると、株式市場はバブル相場と崩壊、感染症や地震などの自然災害、戦争といった不測の事態を何度も経験している。それでも、平均して年6%程度の利回りを確保している。

コロナ後、しばらくの間は経済が混乱するだろうが、最終的には再び成長モードに戻っていく可能性が高い。この世の中から企業活動というものが消滅しない限り、今後も株式投資は有力な投資手段のひとつであり続けるだろう。

もし長期的な視点で株式投資を考えているのであれば、投資をスタートするタイミングが、コロナで株価が下落した今であっても、その前であっても大きな違いはない。投資の年月が長くなればなるほど、利回りは歴史的な平均値である6%に近づいていく。

今回のコロナショックをきっかけに株式投資に興味を持ったのであれば、それはそれで意味のあることだし、以前から投資を継続していてコロナによって含み損を抱えたという人も、あまり悲観する必要はない。

長期的な継続を前提にするなら、ここ数年のパフォーマンスの違いはやがて誤差の範囲に収束していくはずだ。

コロナ後の社会における優良銘柄、危ない銘柄

長期の株式投資では、国際的な優良銘柄に分散投資するのが基本戦略となる。優良銘柄は配当も充実しているので、キャピタルゲイン(株価の上昇によって得られる利益)だけでなく、インカムゲイン(配当などの収益)も相当な金額となる。ただ、時代によって優良企業はある程度、入れ替わるので、必要に応じて投資する銘柄を変えていく工夫は必要である。

特にコロナ後の社会においては、社会のIT化がさらに進むと考えられるので、同じ優良銘柄の中でも、IT化が追い風となる企業(マイクロソフトやインテル、ネットフリックスなど)を重視した方がよい。一方、世界的なサプライチェーンの見直しが進む可能性が高いので、自動車のような業種には注意が必要となる。

もし元手となる投資資金が小さい場合や、ポートフォリオの選定作業が面倒な人は、日経平均やダウ平均といったインデックスに連動するETF(上場投資信託)に毎月一定額積み立てていく手法をお勧めする。

インデックス投資の場合、市場平均値以上のパフォーマンスは得られないが、無用なリスクを取る必要がなく、何より作業が簡便なので、忙しい人にはうってつけである。毎月1万円からであっても、30年投資を続け、従来と同じリターンが確保できると仮定すれば、最終的な資産の予想額は1000万円を超える。

非常に残念なことだが、日本は人口減少が進むことなどから、相対的に高い成長は期待できない。個別企業でポートフォリオを構築する場合でも、インデックスに絞る場合でも、日本市場だけを対象にするのは避けた方がよい。可能な限りリスクは分散し、グローバルな経済成長の恩恵を受けられる銘柄に投資すべきである。