「知識の問題」として伝えると頑張れる

「手伝いたいのに、妻は“大丈夫!”と拒否して余計にイライラされちゃうんだよね」
「とにかくすぐ怒る。なぜ怒っているのかもわからないし…」

こういう話が非常に多い。そのとき、僕はたいてい

「あー、わかる、わかりますよ。でも、それは僕たちの知識不足なんだよなぁ」

と返していました。

「奥さんがくどくど怒るってことは、それだけ頼られているってことなんですよ。そこは『よし任せろ!』って感じで応えてあげる方がええんやろうねぇ」
「突然怒り狂うってことは、奥さんはギリギリまで頑張る人ってことやと思うなぁ。日ごろからもうちょっと注意して様子見ててあげた方がいいよ。父親の自覚はあんねんから、支える夫もできるって」

あくまで知識の問題として、必要な部分に的を絞って伝えます。そうすると男性は頑張れるからです。パパたちは納得しつついつも

「それならそうと言ってくれたらええやん! 本気でわからんかったわ」と言っていましたね(笑)。

「あなたと私→私たち」に格上げ

今、日本で子育て真っ最中のご夫婦は、こういう内情がほとんどなのかもしれません。

アベナオミ著、小川大介監修『子どもを叱りつける親は失格ですか?』(KADOKAWA)
アベナオミ著、小川大介監修『子どもを叱りつける親は失格ですか?』(KADOKAWA)

時代による変化はあると思いますが、実際、多くの女性には「自分の夫は頼らせてくれる人、成熟している人であってほしい」という価値観があるのではないでしょうか。「なのに、うちの夫は!」と期待を裏切られる…そこから夫婦のすれ違いも始まるように思います。

そこで見直してほしいのが、二人の関係性。恋人同士の時は「あなたと私」でも充分でしたが、怒濤の日常生活を共にする夫婦であり父母となった今だと、ちょっと脆い。だから「あなたと私」から「私たち」に格上げするんです。これだけで、ほとんどの子育て世帯は夫婦の風通しがぐっとよくなると思います。二人の土台には、お互い結婚するほど大好きで、大切に思う気持ちがあるのですから。

忘れてはいけないことは、今の夫婦の関係が、お子さんにとって“育った環境”になることです。穏やかで余裕のある子、粗暴でキレやすい子、人をうらやみ恨んでばかりの子…それは後天的な環境が大きく左右すると思います。

家族構築も“プロジェクト”ですから、ちょっとした情報共有がカギです。例えば、改まった話をする時ほど、LINEを使ってみてください。帰宅後にじっくり話せる機会をうかがうのではなく、先に「帰ってから~と…について話す時間が欲しいな」と“アジェンダ”を送る。そして「私たち~」で話し合う。お互い(特に女性)がモヤモヤする時間が減るだけで、関係は非常にスムーズになるものです。

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