自動車業界から経営コンサル、そしてTV通販へ
新卒で入社したのはトヨタ自動車。ここでは職業人としての基礎を得ることを目標に、期限を3年に設定。実際には4年かかったが、営業部門で新型コンパクトカーの発売などを担当したのち、さらに新しい視野を持ちたいと安定した環境を飛び出した。
トヨタでは、完成された組織であるがゆえに昇進や人材教育のフレームや組織の培った勝ちパターンが固まっており、決まった型に近づくことが成功とされる環境に物足りなさを感じていたという。「キャリアや事業を成功させる方法は他にもあるはず。それを知りたい」という思いが、田中さんを次の転職先に導いた。
2社目として選んだのは、外資系コンサルティング会社のA.T.カーニー。業界も職種もまったく違うが、前例に縛られず自身の力でキャリアをつくれる点、経営者の目線で物事を俯瞰し本質的な解を見つけることが求められる仕事である点に惹かれたという。
ここでの目標は、広い視野を持って課題の答えを見つける力を身につけること。知人から「それなら3年の修行だと思ってコンサルに行け」とアドバイスされていたこともあり、期限は3年に設定した。
「本当に修行でしたね。猛烈に働きましたが、3年後にはどんな難題も一生懸命取り組めば解けると思えるようになりました。今の自分から見たらまだまだ甘いですが(笑)、その時は求めていた武器を手に入れたと感じました」
目標を達成した田中さんが次に求めたのは、事業の当事者になること。コンサルタントとして顧客の事業を成功させるのではなく、自分自身の事業を成功させることで実績を積みたいと考えたのだ。そこでA.T.カーニーのOBから紹介されたのが、TV通販大手のジュピターショップチャンネルだった。
田中さんは経営企画として入社。新規事業や新サービスの企画推進、他社との業務提携などのほか、新たな番組の提案も行い、さまざまな職種のメンバーと番組をつくり上げていく楽しさも知ったという。