下水の飛沫がその割れ目から吹き抜けへと出ていった可能性

また、E棟の4階では下水管内の圧力を調整するためのパイプに大きな割れ目が確認されていた。これは、トイレが使われるたびに、下水の飛沫がその割れ目から吹き抜けへと出ていった可能性を意味する。

以上が香港のアモイガーデンで起こったSARS集団感染の真相だが、これを対岸の火事と思ってはいけない。

不動産コンサルティングサービスを手がけるさくら事務所によると、同マンションの排水構造は、日本のマンションと基本的に変わらないのだ。これは日本のタワマンだけに限らず、マンション全般に関わる話だと同社の担当者は説明する。

マンション居住者の方から「バスルームや洗面台、トイレや部屋の中などで下水の臭いがする」「バスルームにチョウバエ(小さな黒い虫)がいる」などの相談を受けることは珍しくないという。これらの現象は、排水トラップ内の水が蒸発することによって起こるものであり、新型コロナウイルスについても、当時のアモイガーデンと同様の状況を生み出すおそれにつながる。

同事務所は、マンションで排水管からの感染拡大を防ぐためのポイントとして以下の点を挙げている。

1・換気設備の使用に際しては十分に給気を行う(給気口がない場合は窓を開けて換気をして使用する)
2・臭気などの発生が気になる場合にはキッチンやバスルーム、トイレ、洗面台、洗濯機パンなどの排水口(トラップ)にこまめに給水する
3・長期間不在にする場合にはバスルームや洗面台などの排水口をラップなどで覆い、飛沫や臭気の居室内への侵入を防ぐ
4・排水管(下水管)の漏水を放置せず、早めに確実に修繕する(下水の漏水で建物内で感染が広がる可能性も)
5・敷地内の汚水桝などのメンテナンス(清掃)を確実に行う
6・老朽化した排水管(下水管)については専門家の診断を受け、必要に応じて配管の引き換えやオーバーホールなどの措置を早期に検討する。
(写真=時事通信フォト)
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