休みにくい若い世代

毎年、有給休暇について国際比較調査をしている総合旅行サイト、エクスペディアの最新の調査結果によれば、2018年の日本人の有給休暇取得率は、調査した世界19カ国中、3年連続最下位の50%だったという。これはワースト2位のオーストラリアの70%を大きく下回るものだ。

また、「有給休暇の取得に罪悪感がある人の割合」も日本は58%でトップ。逆に「自分は今より多くの有給休暇をもらう権利がある」と考える日本人は54%と、これは世界で最も低かった。

さらに興味深いのは、日本人の中でも世代によって、自分が「休み不足である」と感じている人の割合が異なることだ。18~34歳、および35~49歳の世代では60%以上の人が休み不足を感じている。一方、50歳以上の世代では40%だった。

加えて、上司が有給休暇取得に協力的かどうかという質問に対して「協力的」と回答した日本人は43%で、世界最低だった。上司世代が休むことに消極的であるがゆえに、若い世代も自ずと休みにくくなっているという実態が垣間見える。

病気で休んでも菓子折りは不要だ

カゼなどで休んだ場合、菓子折りを持って上司や同僚にあいさつ回りをして謝っている人もいるかもしれない。私は問いたい。そもそも、感染症や病気で休んだ場合に、職場で謝る必要はあるのか。

もちろん、自分がやるべき仕事を代わりにやってくれた人に対しては、「ありがとうございました」とお礼は言うべきかもしれないが、「申し訳ございませんでした」と謝ることは、医学的見地から考えても一切不要だ。今すぐやめよう。

人が一生のうちにカゼを引く回数は、約200回とされる。人生80年として、単純計算で、たかだか年間2.5回だ。ドイツでは、有給病欠という制度があって、ドイツ人の年平均有給病欠は19日もあるという。

ドイツでは風邪など病気で出勤できない時は有給休暇ではなく有給「病欠」となります。ある統計ではドイツ人の年平均病欠日数は19日!!繰り返しますが有給とは別の有給病欠です。有給取得中の病気は、条件を満たせば病欠扱いになり有給は減りません…(2019年1月9日)

カゼのときくらい、ゆっくり休める社会に、日本も変わっていくべきときではないか。

そもそもカゼもインフルエンザも新型コロナも、原因ウイルスの種類は違えど、ウイルス感染症という意味においては同じだ。ヒトからヒトへ伝播してゆく感染症なのだ。「這ってでも出てこい」という上司がいるならば、管理者として失格だ。

職場にウイルスが蔓延すれば従業員は全滅してしまうではないか。いそがしいならばなおのこと、ウイルス感染者には自宅安静、職場には来させないようにするのが危機管理というものだ。