マスクの「高額転売」を野放しにしたままでいいのか
マスクの売り切れはひとつのパニック現象である。マスクの効用が正しく理解されていないから、売り切れというパニックが起こるのである。
正しい知識を持たずにむやみに恐れると、社会全体が混乱する。新型コロナウイルスに対する正しい知識をしっかりと習得して「正しく怖がりたい」ものである。正しい知識はどこから得たらいいのか。手軽なのは厚生労働省や国立感染症研究所など信頼できる公的機関のウェブサイトをよく読むことだ。
2月8日付の読売新聞の社説は「マスクが品薄になり、値段がつり上がっていることも問題だ。個人売買のサイトでは、定価の何倍もの高値で取引され、消費者庁が、サイト運営会社などに適切な対応をとるよう要請した」とマスクの売り切れ問題を指摘し、こう訴えている。
「社会不安に乗じた買い占めや転売は厳に慎むべきだ。同時に、マスクメーカーは増産により安定供給に努めてもらいたい」
マスクの品切れの背後には買い占めがあるのだろう。許し難い反社会的行為である。行政が取り締まるべきだろう。この読売社説の見出しは「新型肺炎 正確な情報で冷静な対応を」で、次のように書き出す。
「新型肺炎が終息する気配が見えず、インターネット上では真偽不明の情報が飛び交っている。正確な情報に基づき、冷静な行動を心がけたい」
WHOが「ニンニクで感染を防げるか」という疑問に答えた理由
正確な情報を得て冷静に行動する。これこそが「正しく恐れる」ことであり、感染症対策の神髄である。読売新聞の論説委員はそれをよく分かっている。
読売社説は続けて指摘する。
「世界保健機関(WHO)が新型肺炎に関する問答形式のウェブサイトを設けた。例えば『ニンニクを食べれば感染を防げるか』という疑問には、『新型ウイルスを防ぐ証拠はない』と答えている」
「厚生労働省も同様のサイトを設けた。『潜伏期間は1日~12.5日とされる』『感染が疑われる場合には、保健所の相談窓口に問い合わせる』といった基本的な知識を得ることができる」
「不安をあおる悪質なデマも目につく。ツイッターでは、『中国人が関西空港の検疫検査を振り切って逃走した』という投稿が拡散した。あいまいな情報に接したら、まず国や自治体など信頼できる情報源に確認することが大切だ」
「米フェイスブックは、投稿内容の事実確認を始めた。グーグルも、WHOなどの公式情報が検索結果の上位に表示されるようにした。こうした対策は、偽情報の流布を防ぐ上で有効だろう」
WHOや日本の厚労省だけではなく、フェイスブックやグーグルの協力はありがたい。人の健康や命に係わる問題だ。みんなが一致団結してデマや偽情報を壊滅させたい。