【白河】だから今、アンコンシャスバイアス※1研修がはやるのですね。

【佐藤】管理職に、部下の女性の育成プランをまずつくらせ、人事がそのフォローアップするなどの工夫が必要です。

企業の女性活躍にお金がついてくる時代

【白河】私は、ESG投資※2など女性活躍にお金がついてくる時代になったことがすごく良いと思っています。

【佐藤】女性が半分いれば管理職にふさわしい人が半分いるはずで、女性が管理職になれていないのは、仕事経験やキャリア管理などの面で女性の能力開発ができていないということです。会社全体の評価が下がるわけだからね。

【白河】ただ数合わせのために女性役員をという会社もあります。ゼロよりはいいと思うのですが……。

【佐藤】質が問われる時代も来るでしょう。役員の数は多くないので、基本的に女性役員1人ではなく、できれば最低でも3人が大事です。役員の場合、女性比率ではなく女性の数が問題です。

【白河】今役員クラスの女性にお願いしたいことがあります。皆さん、男性の5倍ぐらい優秀なのは明らか。でも優秀すぎて何か制度を入れるときに「私の頃はなんの制度もなかった。今は甘すぎる」と、つい言ってしまう。ぜひ後進のためにもハードルを下げていただきたい。

【佐藤】そう。難しいのは、優秀すぎて下の世代のロールモデルにならないことです。管理職でも「3分の1ぐらいできない人がいたね」でいいんです。男性だって同程度だから。

【白河】そう言っていただけると気持ちが楽になります。女性活躍はトップの本気が問われますが、本気のトップは何が違うのでしょうか?

【佐藤】社長が代わっても継続することです。あるいは、経営方針が変わっても、やり続けることが重要です。また人事制度では、一律的な育成やキャリア管理ではなく、個々人の事情に合わせていくべきで、人事制度改革の改革は、働き方改革より遅れています。

【白河】アパレル会社の社長が、育休・時短の人材が15%を超えたら経営課題だから、ちゃんと対処しなければダメだと。今は「現場で配慮して」で終わっています。その穴を埋める人たちからの不満もすごく強い。

【佐藤】管理職に、部下が育休を取ったときにどうするかのマネジメント研修を全然やっていないですね。

【白河】人員が実際にマイナス1になるだけで大変です。

【佐藤】マイナス1でやるのか、代替要員を入れるのか。または仕事を見直す、分担を変えるなど、いろいろ考えるいいチャンスなんですが。

【白河】変化の激しい時代、なくなる仕事もあるかもしれません。女性たちにぜひアドバイスをお願いします。

※1「アンコンシャスバイアス」=無意識の思い込み(偏見) ※2「ESG投資」=環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資をいう