女性管理職を望む声が多いとはいえ、管理職をめざす女性は36.3%。社内の女性管理職を「ロールモデルになる」と見ている人は2割弱しかおらず、「ロールモデルにならない」「何も思わない」という声を合わせると約8割にも上る。コメントを見ると、仕事をバリバリこなすスーパーウーマンだから、ワーク・ライフ・バランス(以下WLB)を考慮する必要がない独身や子どものいない既婚者、女性活躍推進法を受けて起用されただけだからと、身近な女性管理職に対して厳しい意見が多数寄せられた。

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管理職をめざすと回答した男女に、管理職をめざす理由を聞くと、「給与アップ」が男女ともトップ。次いで「会社・職場の環境を変えたいから」が2位に。女性の場合、「女性が活躍する職場にしたい」という声が3位に。男性が3位に挙げた「社会的地位がほしい」は、女性では6位。反対に、管理職をめざしていない女性がトップに挙げた理由は「その他」。WLBに悩む声が多数かと思いきや、「プライベートがなくなりそう」は4位に。

フリーアンサーに寄せられたコメントを見ると、「女性が管理職に就く風土がない」など、男性優位の環境のためという意見が多く、まだまだ昭和的企業風土から脱却しきれない現場の様子が見えてくる。WLBを理由に挙げたのは、「プレイヤーでいたい」というコメントと同数。多くの女性が仕事を楽しみ、上昇志向にあるが、それを受け止められる職場が今なお少ないということだろう。

一方、社内の女性管理職比率5%以下に比べ、10~20%の会社のほうが管理職をめざす割合が高まることからも、社内の女性管理職がロールモデルになる・ならないにかかわらず、意識を変えるには女性管理職比率を高めることが有効のよう。納得できない人事だったとしても、女性管理職の存在が起業風土を変えるきっかけになるのだろう。

管理職を経験すると、より高みをめざすように

実際に管理職として働く人はどのように感じているのだろうか。「管理職になりたくてなった女性」は39%。「管理職をめざす女性」36.3%とほぼ同率の結果に。なりたかった理由は、管理職をめざす理由と同じ「給与アップ」がトップに挙がった。しかし、フリーアンサーの中には、「転職に役立つから」「独立のため」などのコメントが意外に多く、女性がキャリア構築をシビアに考えている姿が浮き彫りに。

反対に、管理職になりたくなかった理由でトップに挙がったのは、「プライベートがなくなりそう」。ただ、同率2位の「責任を持ちたくない」「今の環境で満足している」との差が2.6ポイントしかなく、それぞれの立場や環境によるものと考えられる。実際に管理職に就いた女性に様子をたずねると、「時間管理が自由にできるようになった」がトップ、2位に「時間に追われるようになった」が続く。これは業務内容による差が大きいだろう。