ヤフーからラインに経験ある編集者が次々と移籍
そして、ヤフー・ニュースから次々に経験のある編集者がラインに移籍していっていた。東奥日報からヤフーに転職し、ヤフトピの見出し2万本をつくった編集者の葛西耕は2018年10月末で退社、ラインへ。同じく北国新聞からヤフーに転職した杉本良博も、2019年5月にラインへ移籍した。
彼らは、ヤフーが川邊健太郎体制のもと、メディア企業からデータ企業にはっきりと舵をきったことを見越して移籍していっていた。
そのラインがヤフーと統合する。記者会見の同日開かれた投資家への説明の中で、川邊健太郎は、補完する分野として、フィンテックやコマースを挙げていたが、現在競合している分野についてはとくに分野を示さず「合理化する」と答えていたから、ニュース部門はまさにその対象になるだろう。
「公共性」のないニュースサイトは長期的な価値をつくれない
ヤフー・ニュースがここまで大きくなった理由のひとつに、「公共性」という創設以来のDNAがある。ヤフー・ニュース・トピックス(ヤフトピ)は今知るべき8本のニュースを表示するキラーコンテンツだが、このヤフトピは、誰が世界のどこでアクセスしようと、同じ8本が並んでいる。
競合する「スマートニュース」や「グノシー」の場合は、ユーザーのログをAIが分析して、そのユーザーが好むニュースが表示されるようになっている。だから私が見ているスマートニュースはあなたが見ているスマートニュースとは違うのだ。
しかも、ヤフトピの場合、8本のうち上に表示される4本は、どんなときでも、政治、経済、国際の硬いニュースが並び、エンタメや芸能はかならず下の4本に配置される。
その理由を、宮坂学は「知らせるべきニュースを知らせる。自分は人々に間違いのない選択をしてほしいと考えていた」と答えていた。スマートニュースやグノシーのようなやりかただと短期のPVはあがるかもしれないが、長期的な価値には結びつかないとヤフーはよくわかっていたのだった。