「あなたは人の気持ちがわからない人だ」と言われたら、どう思うだろうか。ブロガーのフミコフミオ氏は、「悩む必要はない。『人の気持ちがわからない』と他人に忠告する人たちこそ、人の気持ちがわかっていない。だから人の気持ちもわからずに発言できるのだ」という——。

※本稿は、フミコフミオ『ぼくは会社員という生き方に絶望はしていない。ただ、今の職場にずっと……と考えると胃に穴があきそうになる。』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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子供の頃から人の気持ちがわからない

恥の多い人生であった。「あなたは人の気持ちがわからない人だ」と言われることの多い人生であった。子供の頃は、親兄弟、親戚、友人、近しい人たちから「私たちはあなたのために厳しいことを言っている」という建前で「人の気持ちがわからないからお前はダメだ」といさめられていた。

大人になった今、注意を受けること自体がなくなってしまった。単純に、年長の人たちの数が少なくなってしまった。天へ召された人もいれば、ご自分の老後生活の苦しさで他人にアドバイスする余裕すらなくなってしまった人もいる。

もっとも、僕が大人になったというのが、いちばん大きな要因だろう。僕も、平々凡々な人生のなかで、人並みに経験を積んだ。おかげで「こんなこと言ったら相手は怒るかもしれない」と想像できるようになった。

子供の頃に比べれば、「人の気持ちがわからない」と揶揄やゆされるような発言をする頻度が減っているのは、間違いない。だが、体裁を整えているだけで、今でも人の気持ちはわからないままである。子供の頃「絶対、表面上相手に合わせるようなつまらない大人にだけはならない」と誓った「つまらない大人」に僕はなってしまった。