人手不足が続く中、顧客より従業員を守ることを大事に考える企業が増えてきた。アルバイト先を選ぶ若者たちも、ネットの口コミ情報からそうした企業の姿勢をしっかり読みとっている。人手不足にあえぐ企業と、人が集まる企業の明暗が一目瞭然の時代になった――。
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顧客ファーストから従業員ファーストへ

昨年(2018年)は注文方法でビールの値段が変わる居酒屋が話題になったことがあった。「おい、生ビール」と乱暴に注文すれば1000円、「すいません、生一つ下さい」と丁寧に注文すれば本来の価格である380円、といった具合だ。半ば冗談ではあるものの、客は神様ではない、お店にとって大切な従業員はたとえ客が相手であっても傷付けられることを許さない、という意図があったようだ。

「店が客を選ぶ」というと傲慢に聞こえるかもしれないが、人手不足の現在、客よりも従業員を優先すべきと経営者が考えても全く不思議ではない。つまり「顧客ファースト」から「従業員ファースト」へと、人手不足の時代に大きな転換を迎えている。

そして居酒屋がこのような対応で話題になったことは決して偶然ではない。なぜなら人手不足で最も困っているのが飲食業だからだ。若者のアルバイト事情からこの問題を考えてみたい。