1人で死ねば、すべての問題は解決するのか

ひきこもっている人は、決して凶悪な犯罪者ではない。ひきこもりを偏見視することは、彼らをさらに社会から隔絶することになる。その行き着く先は自殺だろう。それでいいはずがない。

岩崎容疑者に対し、テレビの情報番組で「小学生を巻き込まずに1人で死ねばいい」との趣旨の発言をする著名人が目立つ。

報道によれば、ニュースキャスターの安藤優子氏は事件発生直後の5月28日、フジテレビ「直撃LIVE グッディ!」で「自分1人で自分の命を絶てば済むことだ」と発言した。これにコメンテーターで弁護士の北村晴男氏が「死にたいなら1人で死ねよ、と言いたくなる」と応えた。

同じ28日、TBS「ひるおび!」では、落語家の立川志らく氏が「死にたいなら1人で死んでくれよ」と話した。

こうした非難の声がテレビ番組から発信され、ネット上でも拡散していった。

悩んでいる人を、さらに苦しませるだけ

これに反論したのが、貧困者を支援するNPO「ほっとプラス」の代表理事の藤田孝典氏だった。藤田氏はYahoo!ニュース(個人)で「川崎殺傷事件『死にたいなら一人で死ぬべき』という非難は控えてほしい」と呼びかけた。この藤田氏の反論は、ネット上だけでなく、テレビの情報番組でも取り上げられ、大きな話題になった。

沙鴎一歩は藤田氏の考え方に賛成である。テレビでコメントする場合、出演者は冷静かつ慎重になるべきだ。「1人で死ねばいい」という感情的な思考は、あまりにも単純だ。

「1人で死ねばいい」という発言が繰り返されることは、ひきこもりなどで悩んでいる人を、さらに苦しませるだけだろう。