そのため、規制改革の果実を一部の狭い範囲の関係者だけでなく、多くの人に感じられる政策を進めるべきだろう。たとえば、筆者は海外に出かける際にUberを利用するが、米国でもカタールでも同サービスは利用することができる。類似のライドシェアサービスも次々と誕生しており、インドでもOlaというライドシェアサービスがUberを上回る普及率を誇っている状況だ。

一方、Uberの利用は日本では禁止されており(※)、出前サービスのUber Eatsしか使えない。これは時代遅れで極めてナンセンスな規制の1つであり、多くの国民が規制緩和の意義を実感する機会を奪うものと言えるだろう。

※編集部註:タクシーに準じた営業は認められているが、自家用車で乗客を運ぶ「ライドシェア事業」は認められていない。

地方の発展には、自由な発想が不可欠

また、規制緩和についても日本のやり方は非常にスピードが遅い。たとえば、米国では、トランプ大統領は17年の政権発足早々に「2対1ルール」と呼ばれる大統領令を施行した。これは新しい規制を1つつくる場合、いらない規制を2つ廃止することを義務付けるものである。

Uberがあれば、地方の買い物難民も少しは救えるのでは……。(時事通信フォト=写真)

その結果として、17年12月のホワイトハウスの発表によると、僅か1年の間にトランプ政権は新たな規制1本につき22本の規制を廃止するという驚異的な成果を生み出している。また、連邦政府は計画されていた1579本の規制について、635本を撤回し、244本が無効化され、700本が延期された。これらの改革によってトランプ政権は17年だけで将来にわたる81億ドルの規制による経済損失を回避したとされている。

地方が発展していくためには、自由な発想を生かした自治体経営が不可欠だ。それは地域における新たな産業を生み出すとともに、積極的な経済効果を生み出していくことにもなるからだ。統一地方選挙に候補者を立てている主要政党はどの規制を廃止するのかを明示するべきだろう。

そうでなければ地方議員が政党から公認・推薦を受けることが単なる党派を示すだけで政策的な意味がないこととなってしまう。有権者も首長や議員候補者らに対して、どのような規制を廃止する提案するつもりがあるのかを積極的に問うべきだ。

ふるさと税問題は、返礼品合戦だけではない

総務省はホームページ上でふるさと納税について「地方で生まれ育ち都会に出てきた方には、誰でもふるさとへ恩返ししたい想いがあるのではないでしょうか。育ててくれた、支えてくれた、一人前にしてくれた、ふるさとへ。都会で暮らすようになり、仕事に就き、納税し始めると、住んでいる自治体に納税することになります。税制を通じてふるさとへ貢献する仕組みができないか。そのような想いのもと、『ふるさと納税』は導入されました」と謳っている。

しかし、ふるさと納税の現実は非常に厳しい。改正地方税法が通常国会で通過し、19年6月からふるさと納税は事実上の総務省による認可制になることとなった。