歯医者は商売が下手
【歯科医C】自費治療をこちらから勧められないという話にもつながってくるのかもしれませんが、「この歯科医院は不潔だ」「この歯科医院は最新の設備が入ってない」という批判もあります。歯科医院等の医療機関の設備等については国等が衛生基準を定め、保健所が相当厳しく指導してくる。そして基準に達しないと医療機関としての許可が下りない。また、最新の設備がある歯科医院だけを「合格」として、その他の医院を貶めるのは少し違和感がありますね。私の医院ではかなり高性能なものを無理して揃えていますが。
【歯科医A】そうですね。一人一人の患者さんを個室で治療しなくてはダメだというのも同じような議論です。当然、歯科は外科的な部分がありますから、雑菌はないほうがいいですが、それが不潔な状態かというと、まったくそれは違います。きちんとしたルールに従って清潔な状態を保つわけです。
【歯科医B】設備投資云々の話がでましたが、歯医者は商売が下手ですよね。審美系の歯医者から少しはノウハウを盗んだほうがいいかもしれない(笑)。
【歯科医C】お金儲けが好きではないと気づかないことも多いのです。プラークコントロールやモチベーション(患者への動機付け)は、時間がかかるがほとんど儲からない。だけど、一所懸命やってしまう。
【歯科医A】最近の患者さんの傾向で「歯をなるべく残す」という要望があります。たしかに、一般論として正しいのですが、医学的にどうしても歯を抜かないといけないケースがあるのです。
先日、「歯を絶対に抜いてほしくないのに、いつも行っている先生が抜こうとするから、転院してきた」という患者さんがいらっしゃったんです。ですが、その歯はどう診たって抜くしかない。事実をそのまま伝えたのですが、「できる限りのことをしてもらえませんか」と言われ、悩みに悩んで患者の言うとおりにしたのです。でも結果は当然抜くことになり……。
「できる限りのことをしてくれて、ありがとうございました」と感謝され、医院としてもいくぶんかの収入にはなったのですけど、罪悪感が生まれました。私は商売に向いてないなと、改めて実感しました。
【一同】(笑)