日本の管理職はまじめすぎ
季節柄、この春から管理職になり「さあ私の出番だ」とばかりにやる気満々の人もいれば、まったく経験のない役割に「自分にできるのかな」と不安や恐怖が先行して憂鬱な人もいるでしょう。また、管理職ではなくとも新入社員が入ってきて教育担当を命じられたり、「新人さんにしっかり関わってあげましょう」という職場の雰囲気を感じている人もいるでしょう。
私が関わっている組織コンサルティングの現場では、管理者のみなさんがあまりにもマネジメント業務に“力み”すぎていると感じます。
世代的にはロスジェネ世代の方に多くこの力みを感じます。この世代は、自身が部下の立場の時はトップダウン型のマネジメントを受けてきたものの、いざ管理者になってみると部下はゆとり世代という人たち。とくに共感力の強い女性は、部下の気持ちが理解できすぎて管理者としての立場とのはざまで苦しむというケースも見られます。
例えば一時期話題になった部下とのOne on One(部下と1対1で行うミーティング)に時間をかけるなど、枝葉末節のテクニックを中途半端に取り入れてしまった結果、余計なところに余計な力を使い、自身が疲弊しすぎている。要は、“肩に力が入りすぎ”なのです。
これらのコメントは我々が実際にトレーニングの現場で対峙した女性経営者・管理者の方々が話してくれた心情でした。
このような事態をなんとか打開できないだろうか。そういうスタンスでこの連載を書いていきたいと思っています。まじめなみなさんには“たかがマネジメント”という開き直りがあるくらいでちょうどよいのです。もっと肩の力を抜いていきましょう。
「されてうれしかったマネジメント」は正しいか?
経験のない業務に挑む際、参考にするのは先人であって、先輩や上司、ということが大いにあるでしょう。参考にするといっても、反面教師として「あんな風なマネジメントはしないぞ」ということもあるでしょうし、良い面を取り入れ「自分はこうされて嬉しかった」ということもあるでしょう。
そんな中、よく耳にするのが「寄り添うマネジメント」です。例えば以下のようなマネジャーは本当に多くいます。
自分がしてもらって嬉しかったマネジメントを展開しているわけなので、圧倒的に是だろうと思う人も多いでしょうが、業務遂行上(つまり成果を追及する上で)必要な知識がある程度備わっている部下たちを相手にする場合、このマネジメントは誤りなんです。