「部下に嫌われたくない」は捨てよう
寄り添うマネジメントを展開している背景に、もし「部下に嫌われたくない」「いい人でいたい」という心理があるとするなら、みなさんが“配慮”すべき方向をまったくの逆方向に向けてほしいと思います。なぜなら、みなさん自身の評価者は部下ではないからです。部下の感情に好きか嫌いか、という評価は確実に存在するし、それをまったく意識しないということは非常に困難だと思います。
しかし、仕事においては、“あなた個人として”の評価を獲得する必要はないのです。少なくとも部下からは。みなさんは評価者たる上司が設定する成果に意識を向け“配慮”すればよいのです。あえて嫌われろ、ということではありません。みなさん自身の評価はあくまでチームパフォーマンスをあげることです。そして成果があがる、ということは顧客に価値を提供できていること、部下が成長していることの結果なのです。みなさんのポジションが何のために存在しているかの原点に立ち返りましょう。
「こういうことを言ったら相手はどう思うかな?」とか、「どういう風に伝えたら、ちゃんとやる気を出して動いてくれるかな?」と気遣いに気遣いを重ねて展開している“寄り添い”が、とりまく関係者全員にとって“損”だと知ったらもう続ける理由はないですよね。
管理職として「真の優しさ」とは何か
立場の違いや責任の大きさから、管理者と部下ではどうしても視点が異なってきます。みなさんが半年先、1年先の未来を見て意思決定している方針やルール、指示のそれぞれは、今現在を見て良し悪しを判断している部下にとっては理解できないこともあるでしょう。このギャップを埋めるべくして行っていた「寄り添い」から勇気をもって脱却したことで、組織として成果をあげられるようになったという声をたくさん聞いています。
「管理者である私がするべきことは、組織として目標を達成すること」「管理者である私がするべきことは、部下が目標達成して成長すること」。この本来のミッションに忠実であることが、実は真の優しさなのではないでしょうか。
識学社長。1979年大阪府生まれ。2002年早稲田大学人間科学部卒業後、NTTドコモ入社、06年ジェイコムホールディングス(現ライク)に入社し、子会社で取締役営業副本部長を務める。13年「識学」と出会い、独立。15年識学を設立し、社長に就任。19年マザーズに上場。
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