社員のアイデアが会社にチャンスをもたらす
うちは社員50人の小さな会社ですが、人材育成には力をいれています。NTTが原体験でした。NTTの人材育成は非常に手厚く、長期に渡ります。長い研修を経て、企業固有の文化・慣習が身についていきます。
社員にしっかり研修を受けさせる中小企業は少ないかもしれませんが、弊社では可能なかぎり研修を受けさせています。NTTには及びませんが、新卒は入社直後から4カ月、外部研修を受け、ビジネスマナーやプログラミングなどの基本を学びます。8月からようやく本配属となりますが、その後もたびたび研修を繰り返します。新卒だけでなく、中途採用の場合、タイムマネジメント、リスク対策、トラブル対策など、ビジネスのベース部分の研修には参加してもらっています。
IT企業はあらゆる業界との接点があって、新しい情報に触れる機会は多い。研修でしっかり基礎を身につけてから、新しいものに触れれば、仕事のアイデアがより浮かびやすい。社員の1つのアイデアが会社に大きなチャンスをもたらすことは、IT企業ではよくあることです。また、研修で身につけたスキルは社員個人にとってもプラスです。社員たちに「自分の市場価値、付加価値も意識するようにね」と言っています。
いずれ辞める人に教育する意味
IT企業は、社員の流動性が高いので、「いつ辞めるかわからない社員に、なぜそれほどコストをかけるのか」と言われることがあります。もちろん、社員にはできるだけ長く一緒に働いてもらいたい。ただ、辞めてしまう人がいるのも事実です。
だから入社前の面接のときに、私は必ずその人のキャリアビジョンを聞きます。そのビジョンがうちの会社のビジョンとマッチするなら「共に成長できるから、一緒に働きませんか」と言っています。
採用でいい人が入ってくれるかどうかは給与の面も確かに大きいですが、特にエンジニアやクリエイターは働きやすい環境を重視している人も多いので、そこは整えるようには心がけています。毎年社員全員を対象にした面談をやっているのですが、そのときに職種によって重視する点が異なる傾向があるように感じました。営業職は「自分の仕事を認めてくれているか」を重視する。一方、エンジニアなどクリエイター系の人たちは成果への認識もありつつ、「どういう環境で仕事ができるか」ということを気にします。周りにどういう人がいて、どういう環境で働けるのか、に重きを置く傾向がありますね。