年齢を重ねると増えてくる体の変調。突然のそのとき、どこの病院に行き、どんな医師を訪ねるべきなのか。9つのポイントで検証した。第9回は「国立系vs公立系vs私立系」――。

※本稿は、「プレジデント」(2018年12月31日号)の掲載記事を再編集したものです

患者にやさしくて快適なのは、私立病院!?

国立、公立、私立にはどんな違いがあるのか。経営状態、医療費、医療技術の3点から比較してみよう。

※写真はイメージです(写真=iStock.com/PeopleImages)

病院向けの経営コンサルタントを手掛ける医療総研代表取締役社長の伊藤哲雄氏はこう解説する。

「経営努力の面では私立病院が最も進んでおり、次が国立病院、公立病院は最も遅れていると言わざるをえません」

病院の収支は治療に間接的に影響してくる。例えば私立病院は、収入を確保するために患者数を増やす努力をしている。その1つが接遇だ。患者の満足度を意識する病院が増えており、患者にとってはありがたい。

一方で国立病院は、2004年に独立行政法人に移行し、民営化。その後、自助努力を続け、黒字化しているところも少なくないという。それはいいことなのだが、「国立病院の医師は疲弊している」と指摘するのは、高崎健康福祉大学准教授の木村憲洋氏だ。

現在は、国立病院機構の下にそれぞれの国立病院がぶら下がる組織構造になっている。各病院の予算は機構がすべて管理しており、無理なコストダウンを強いられることもある。また、これまでは難病や重い病気の患者を中心に診察していた病院が収入を増やすために、風邪の患者まで診なければならないことも多くなっている。疲れ果てている可能性があるというわけだ。

公立病院(自治体病院)は、ほとんど改革が進んでいない。

「数字上は黒字のところもありますが、自治体の一般会計から補てんされていることも多いので、ほとんどが赤字と考えていいでしょう」(伊藤氏)

その意味では国立病院の医師よりも余裕がある可能性はあるが、いまだ公務員意識から抜け出せていない。以上を考えると、接遇の面では私立病院に軍配が上がりそうだ。