金銭トラブルに見舞われる人を量産する社会

また、最近は「お金を借りる」ことのハードルがかなり低くなっています。

かつては、お金を借りるためには誰かに頭を下げるか、もしくは人目を避けて裏路地にある質屋に行って自分の大切な物と引き換えにするか、つまり何らかの痛みを伴う必要がありました。

ところが1970年後半から消費者金融が急速に普及し始め、気がつけばゴールデンタイムに前向きなイメージのテレビCMが堂々と流されるようになっています。消費者金融=怖いというイメージはすでに払拭されていると言ってもいいでしょう。

さらに進化した消費者金融は大手メガバンクの傘下に入り、消費者はより気軽に無担保でお金を借りられてしまうようになりました。窓口に行かずとも、ATMでも簡単にお金が借りられる時代になり、銀行で自分の預金からお金を引き出すのと大して変わらない感覚で、気軽に借金ができるのです。

その結果、多くの人が安易な借り入れを積み重ね、金銭トラブルに見舞われる人が量産されたのです。

お金関係の訴訟は東京簡易裁判所だけで1日100件

日本の裁判所で、一日に消費者金融を含めた金銭がらみの裁判が、いったい何件なされているのかご存じですか?

払われていないお金を請求するもの、逆に、払い過ぎた利息を取り戻す請求をするもの。どちらにしてもお金の貸し借りに起因する訴訟は、東京簡易裁判所だけでも1日100件以上が開廷されています。これを全国の裁判所で計算すると、気が遠くなるような数になるでしょう。

それでも「お金の教育」に注意を払う人は決して多くありません。きちんと「お金の教育」をしていけば、そのようなトラブルの数は減らせるはずです。でも現実には、元凶を放置したまま、増え続ける訴訟の対応に振り回されているだけなのです。