「チャンスが来たら、迷わずつかむべき」

浅野英利子さん(入社18年目)は入社以来、MRとしてキャリアを積んできたが、将来の進路がイメージできず、漠然とした不安を抱えていた。

(左)メディカルアフェアーズ メディカルリサーチプロジェクトマネジメント メディカルリサーチ第1グループ マネージャー 太田由加里さん(右)ワクチンビジネスユニット ワクチン・小児領域第2営業部 東海第1営業所長 浅野英利子さん

「そんなとき、Sempaiリストを見ていたら、新入社員のときに研修を担当してくれた方がいたんです。本社の仕事にも興味があったので、ぜひお話を聞いてみたいなって」

浅野さんからのアプローチを受けたのは、臨床研究の企画・実施を担当する太田由加里さん(入社31年目)。初回の面談では、お互いの仕事を紹介しあって終わったが、2度目に会ったとき、「営業で管理職を目指したら?」と言われた浅野さんは、「まだ私には早いのでは」と言葉を濁す。それを聞いた太田さんは、思わず声をあげた。「チャンスが来たら、迷わずつかむべき!」

「Sempaiリストに登録したときは、私自身も管理職になって3カ月目。浅野さんの不安はよくわかりました。でも、最初は大変だと感じても、そのうち見える景色が変わって、面白くなってくるからと伝えました」

それから約10カ月後、「ワクチン領域を扱う名古屋の営業所で所長をやらないか」という打診が来た。

「ワクチン領域には詳しくないし、私に務まるのかと一瞬迷いました。でも、太田さんの言葉を思い出して挑戦することにしました」(浅野さん)

18年1月に営業所長に就任。現在は8人のメンバー(男性5、女性3)をまとめている。

「所長になって、太田さんが言っていた“景色が変わる”の意味がわかりました。MR時代は自分の数字しか見えていなかったのですが、今は営業所全体の数字と、メンバーとのコミュニケーションを意識する日々。マネジメントは難しいけれど、MRとは違う面白さがあります。あの時、背中を押してもらって感謝しています」

これまでに「Sempaiプログラム」を利用した社員は177人にのぼる。

約3500人の社員に多彩なネットワークが提供され、自己実現、キャリア形成、成長の機会をいつでも手にできる。この環境がある限り、MSDでは今後もユニークな改革や制度が生み出されていくだろう。

撮影=市来朋久

中津川 詔子(なかつがわ・あきこ)