転職して半年で妊娠。役員たちの反応は……
抗がん剤領域のマーケティング部門で働く大西裕絵(ひろえ)さん(入社2年目)は、前職が中央省庁という異色の経歴の持ち主だ。
「国会対応などの、突発的な業務が発生したり、深夜まで議論や調整が続くこともあったので、子どもを育てながら続けるのは負担が大きいと感じていました。そこで学生時代に専攻していた薬学に関わる製薬業界に挑戦してみようと思ったんです。私は第1子ができた後にアメリカにMBA留学したのですが、育児をしながら活躍する女性を見て、外資のほうが子どものいる社員に理解があるかな、という期待もありました」
MSDに来てよかったと痛感したのは、入社半年で第2子の妊娠がわかったときだ。
「転職してから日が浅いこともあり、さすがに怒られるだろうと、びくびくしながら役員室に行ったんです。ところが、『それはめでたい』と全面的に祝福していただいて。その後、懐妊中にオファーを受けて執行役員に就任された女性もいると聞いて、すごく励まされました」
2年目に産休・育休を6カ月取得し、復帰後に部署が変わったが、これは入社時の希望に沿った異動で、育休取得とは無関係。「出産したらキャリアをあきらめる」というカルチャーはここにはない。
「裁量労働制が浸透しているので、保育園のお迎えに間に合うよう仕事を終えて、ほぼ毎日、家で夕食を作っています。あとは月2回ほど在宅勤務をして、プライベートと両立しています」
17年にパイロット導入された「Sempaiプログラム」というユニークな制度もある。「自分の経験を後輩のために役立てたい」という社員が「Sempai」として登録し、プロフィールを公開。それを見て、「この人の話を聞きたい」と思った社員が自由にアプローチできる。