新入社員研修で豊富な実績を持つシェイクでは、ゆとり世代をさまざまな機会を積極的に活用してきた「アクティブ層」と、特に活用することなく過ごしてきた「のんびり層」とに分け、おのおのの特徴を分析した。前者は「根拠のない自信」「近道志向」「口達者」、後者だと「他力本願」「自分を好きになれない」があげられ、さらに共通するものとしては「お金よりもやりがい」「コミュニケーションが苦手」「ストレス耐性が低い」「自分を知らない」「納得しないと動かない」ことなどが指摘できるという。
そんなゆとり世代が就職で会社を選択する際に最も重視するポイントが何かというと、図2にあるように「好きなこと、あるいは得意なことができること」である。アクティブ層とのんびり層に共通していた特徴の一つである「やりがい重視」の姿勢がこの数字に表れている。
08年入社のゆとり第一世代の場合、求人倍率が2.14倍(図3参照)だったこともあって、かなり余裕を持って会社の選択ができた。今年4月に入社する第二世代についても、昨秋からの景気悪化を受けて一部で内定取り消しの動きがあったものの、「自分も同じだが、ほとんどの友人も希望する職種の会社への入社が決まった」(今春私大卒業生)という。
そうした売り手市場のなかでゆとり世代が引き起こしたトラブルが、いくつも内定を得た者による内定辞退ならぬ入社辞退である。他人任せできたために自分で決断できないまま、4月1日を迎えてしまう。なぜ入社式に出てこないのか、人事担当者が電話を入れても応答しない。「直前になっても2つや3つの内定を持ったままの友人が何人かいた」(今春国立大卒業生)という。親が同席したいのならむしろ歓迎したいくらいで、今春の入社式で“ドタキャン”が出ないか、戦々恐々としている関係者が多かったのだ。
そして、いま、中学校から本格的なゆとり教育を受けてきた第三世代が就職活動の佳境を迎えている。自動車メーカーの本田技研工業が来春入社の新卒採用者数を今春入社予定者数と比べて40%減の890人に減らす方針を打ち出したほか、大手精密機械メーカーのキヤノンも同65%減の400人に絞り込む考えを表明するなど求人が落ち込み、一気に買い手市場に転じたかに見える。