また、男性では、石鹸で頭をガシガシ洗うのが好きな人もいるだろう。石鹸や石鹸系シャンプーは、原材料がシンプルで、ナチュラル志向の人には好まれるが、アルカリ性のため、弱酸性の頭皮や髪のpHを変化させ、皮脂を取りすぎる可能性がある。洗った後には、キコキコ、ゴワゴワするだろう。乾燥しやすい人は、使用しない方が無難と言える。

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石鹸を頭で泡立てる人もいるが、これは毛穴を詰まらせる可能性があり、頭臭にも抜け毛にも絶対にNGな習慣だ。他のシャンプーでも同じだが、直接塗ったりせずに、手や泡立てネットなどで十分に泡立ててから使おう。

また、石鹸成分を水道水で洗い流すことで、水道水中のミネラル分と反応して、石鹸カスが発生し、頭皮や毛穴に残りやすい。しっかり流した上で、酸性のリンスでしっかりと中和する必要があるが、この際に、石鹸カスは脂肪酸に変化する。保湿効果もあるが、ベタつきの原因にもなりやすい。

頭皮や髪に優しいのはアミノ酸系シャンプー

シャンプーの中で最も頭皮や髪に優しいのは、アミノ酸系のシャンプーだろう。界面活性剤として、合成界面活性剤と比較すると刺激が少ないアミノ酸を使っているもので、裏の表示に「タウリン」「グルタミン」「アラニン」「サルコシン」などアミノ酸の名前がある。

アミノ酸系のシャンプーは、一般的に価格は高い。安価なものでは、「アミノ酸配合」と表示されていても、高級アルコール系シャンプーにアミノ酸を配合しただけのものもあるので、裏の表示を確認しよう。

アミノ酸系のシャンプーは、洗浄力が弱い分、ワックスなどの整髪料が落ちにくいのがデメリットでもある。こうした場合には、1回目にワックス部分だけ、洗浄力のあるシャンプーで洗い、2回目にアミノ酸系シャンプーで頭皮まで洗うといいだろう。

しかし1回目に使うものも、ラウリル硫酸、ラウレス硫酸などの合成界面活性剤入りのものはお勧めしない。

ちなみに、混同しやすいものに「ラウロイルグルタミン酸」「ラウロイルメチルアラニン」などがあるが、これはアミノ酸系の成分だ。

頭の脂が原因で、カビが大繁殖

しばらく頭を洗わないでいると、フケは誰にでも出てくるが、中には、洗っていてもすぐに異常にフケが出る人がいる。この場合、マラセチア・フルフルという名の、皮脂を大好物とするカビ菌が大繁殖している可能性が高い。痒(かゆ)みも伴い、脂漏性(しろうせい)皮膚炎を起こしている状態だ。