長年連れ添ってきた妻からの突然の離婚宣告――。「いざ、そのとき!」にあわてないために、年金分割の基本と上手な離婚の仕方を、専門家に聞いた。

妻の不貞で離婚しても年金分割で妻に不利にはならない

日本の年金制度は、現役時代に保険料を支払った者に「老後の生活保障」としての年金が支払われる仕組みです。世帯を単位として考えているので、受け取る年金は夫婦の生活のためのものです。男性側は、「自分が働いて保険料を納めてきたのだから、受け取る年金は自分のものだ」という感覚が強いかと思いますが、「夫が稼いでこられたのは妻の内助の功があってこそ」という考え方にのっとっています。そのため、離婚した場合にも、夫婦間で年金を分割することができる制度があるのです。

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誤解をされている方も多いのですが、年金分割は、年金の支給額が真っ二つにされるわけではありません。

年金は、一般的なサラリーマンの場合、国民年金と厚生年金の2種類からなりますが、国民年金は個人単位で支給されるため、分割の対象にはなりません。厚生年金だけが分割の対象になります。夫側の年金が200万円であれば、国民年金がだいたい80万円で、厚生年金は120万円くらいですから、半々に分けると決めた場合でも、夫側の厚生年金を60万円ずつ分けるイメージです。ただ、厳密に言うと、実は支給された年金額を分割するのではなく、年金額の算出のもととなる、婚姻期間中の夫婦の保険料納付記録(いわゆる標準報酬)を分割するのです。