築地、晴海、勝鬨エリアの一体開発を

築地再開発の具体的なプランはまだ不明だが、私は民間の資金を取り込むべきだと考える。築地近辺なら1600%程度の容積率で再開発が可能だろう。そのうちの200%は東京都が貸借して競りなどの市場内取引や食のテーマパーク施設として活用するなどの条件を付けて、民間に売却する。

築地界隈のウオーターフロントは東京に残された最後の巨大開発エリアだ。銀座に近接した立地は申し分ないし、築地ブランドも残るとなれば、2000億円、3000億円でも買おうという投資の手は世界中から挙がるはずだ。こうした方向に持っていければ、都民の負担は大幅に軽減される。「都民ファースト」な課題解決になる。

イギリスの情報誌が毎年発表している「世界のもっとも住みやすい都市ベスト25」で東京は15、16、17年と3年連続で1位に選ばれた。確かに世界の大都市と比べて東京は交通アクセスが抜群だし、美味しい店もたくさんある。犯罪発生率は低く、騒音も少ない。昔に比べて交通渋滞は驚くほど緩和されているし、隅田川にも魚が戻ってきている。東京から富士山が見える日はかつて20日もなかったが、今や100日以上だ。そんな東京の喫緊の課題は何かといえば、一つは災害対策、やはり地震などの自然災害に対する備えだろう。首都直下型はもちろん、相模湾などで大地震が起きた場合でも相当深刻な被害が予想される。

国際都市としてはまだ3流の東京

もう一つは外国人から住みやすい街に選ばれながら、主要なグローバル企業が東京にアジア本社を置いていないこと。国際都市としてはまだ3流なのだ。貸席経済が進んだシンガポールや香港と比べて何が問題かといえば、まだ規制が多いことであり、外国人が住みたがるような職住近接の空間が足りない。

そういう意味でも、私が20年以上前から提案している築地から晴海、勝鬨エリアの一体開発ができれば、ビジネス環境も住環境も一気に向上し、東京の未来を決定づける魅力ある都市の中核部分に仕上げることができる。ロンドンのドックランズに匹敵する職住一体型の“シティ”が誕生する。これを都民の税金を使わずにPPP(公民パートナーシップ)でやることが肝心だ。都民の安全と安心を着実に改善しながら、将来の繁栄を世界から取り込む。

「都民ファースト」な都政の実現にはこの3つの方向性が重要だと思う。小池都知事には(国政ではなく)東京をピカピカに磨き上げることに専心してもらいたい。

(構成=小川 剛 写真=AFLO)
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