残業の削減は、人件費の減少につながるため、会社としては取り組みやすいが、実は社員の満足度向上にはあまりつながらないことに気をつける必要がある。もちろん社員の健康上の観点から、月に80時間を超えるような残業が発生しないよう注意する必要があることは言うまでもない。
では最後に、「有給休暇の取得率を上げる」ことの効果についてみてみよう。方法(3)のグラフは社員のクチコミ評価(縦軸)と有給休暇消化率(横軸)の関係を示したものだが、方法(2)に比べれば、強い相関があることがわかる。平均すると、社員の満足度を0.1点上げるには、社員の有給休暇消化率を25%上げればよいことがわかった(全社の有給休暇消化率平均は38%)。これは、年間の有給休暇日数を20日とすれば、年間で5日の有給休暇に相当する。
日本企業の有休消化率は、先進国各国と比べて低いことが指摘されており、経団連も2016年、観光消費の喚起を目的に、年間の有給休暇消化日数をあと「3日」増やすように提言したところだ。そしてデータからわかるのは、有給休暇の消化促進は、コストをなるべくかけずに社員の満足度を高めるためにも、有効である可能性があるということだ。