小池サイド「圧勝」の千代田区長選、国政への影響は?
2月5日投開票の千代田区長選挙。小池百合子都知事が推す現職・石川雅己氏の圧勝だった。報道機関の出口調査においても小池さんの支持率は80%を超える驚異的なもので、さらに小池さんが作る政治グループが来る7月2日に行われる都議会議員選挙にも勝って欲しいとの声が70%以上もあるという。これは凄い。
民進党はすぐに白旗。党を挙げて小池さんと連携したいと小池さんにラブコールを送るも、小池さんは民進党と丸ごと連携することはないと一蹴。ここは小池さんの政治判断が冴えてる。
そりゃそうでしょ! つい半年くらい前は、蓮舫さんも民進党もあの鳥越俊太郎氏を応援して小池さんのことをぼろくそに言っていたんだよ。それが半年くらいで、やっぱり小池さんの改革は素晴らしいだって? そんなことがおかしいことくらいは政治の素人でも分かるよ。小池さんは、そんな民進党と組んだら政策も政治理念もへったくれもないのかっ! と有権者の批判を受けることをよく分かっている。蓮舫さんは、政治判断がまだまだだね。
都議会自民党だけでなく、この都議会選挙が国政にも影響しないかと国政の自民党も戦々恐々としているだろう。しかし小池さんは安倍自民党とは戦わない、というよりも戦えない。それはオリンピックが人質となっているからだ。オリンピックという国を挙げてのイベントには国の協力が欠かせない。さらにこれから小池さんがやろうとする改革についても、永田町、霞が関が全国津々浦々をコントロールしている中央集権体制の日本においては、必ず政府の協力が必要になる。小池さんは国政自民党とは戦わず、もっぱら都議会自民党と戦うつもりだろう。そもそも今の小池さんに国政自民党と戦う理由がない。
大阪の場合には、大阪都構想を実現させるために法律を制定する必要があった。それに加えて大阪の政策を進めるためにも、そして地方分権という形で国から権限・財源を地方に移すためにも、国政で一定の政治力を持つ必要があった。国の協力を求めるよりも、国と戦う必要があった。ところが今は地方分権という雰囲気ではないし、東京の政策は黙っていても国が進めてくれる。
日本を動かす国会議員や高級官僚、とくに霞が関に勤める官僚の多くは東京都民だ。自分たちの住んでいる街をよくしたいという気持ちは住民誰もが抱くもの。地方の公務員だって自分たちの街をよくしようという思いでやっている。霞が関の役人だって同じ。だから東京をよくするための政策は、東京都が国と喧嘩をしなくても霞が関の役人がどんどん進めてくれる。
ところが地方は違うんだよね。地方出身の国会議員は自分の街をよくしようと必死だけど、国会議員だって政治力を持たないと何もできない。日本の国の重要な権限・財源を持っているのは霞が関の中央省庁。明治以来の中央集権体制の表れだ。
だから地方が、本気で“おらが街”をよくしようと思い自分たちの意思を政治的に実現しようとすれば、最後は、東京の永田町や霞が関、特に霞が関のメンバーの目をこちらに振り向かせなければならないんだよね。
大阪は課題が山積していた上に、これまでの大阪の政治力が弱かったせいでビッグ・プロジェクトが何一つ進んでいなかった。もちろん大阪府庁と大阪市役所が不仲で、合意ができずに停まっていたという理由も大きい。このようにまずは大阪の政治・行政の意思決定を一元化する大阪都構想のための法律を制定するために、そして大阪の政策・改革を進めるためにも、大阪は国と戦い、一定の政治力を持つ必要があったんだ。
※本稿は、公式メールマガジン《橋下徹の「問題解決の授業」》vol.42(2月14日配信)からの引用です。全文はメールマガジンで!!