考え抜いて自分の答えを出すという意味
そして半年経った頃には、突き返され続けていた提案や企画がほとんど通るようになったのです。
課長が自分の頭で、その目的や意味を考え抜いた結果、部長の想定以上のアイデアや価値を生み出せるようになっていたからです。そしてそういうことを上司も望んでいたのです。
現在のように先が見えにくい時代には、上司の立場であっても、現場の情報が多いといえない自分の判断がどんなときでも最善だと確信している人などほとんどいません。むしろ現場の情報をたくさん持っている部下が、現場や顧客の実態に即した答えを示してくれるのは、非常にありがたいことなのです。
つまり、考え抜いて自分の答えを出すということは、「自分で決める」ことにほかなりません。人間は自分の意思で選ぶ、自分で決めるという経験を積み重ねることで成長する生きものなのです。
自分で決めることは、もちろん失敗するということです。実際に上司に指示された仕事よりたくさんの失敗をします。しかし、自分の責任で失敗したのですからたいていの人は本気で反省します。
だからこそ、「なぜ失敗したのか?」「どうすれば問題解決できるのか?」をしっかり考える習慣が身につき、自分を成長させることができるのです。失敗こそが自分を成長させるバネなのです。
柴田昌治(しばた・まさはる)
1986年、日本企業の風土・体質改革を支援するスコラ・コンサルトを設立。これまでに延べ800社以上を支援し、文化や風土といった人のありようの面から企業変革に取り組む「プロセスデザイン」という手法を結実させた。著者に『なぜ会社は変われないのか』『なぜ社員はやる気をなくしているのか』『成果を出す会社はどう考え動くのか』『日本起業の組織風土改革』など多数。近著に『「できる人」が会社を滅ぼす』がある。
1986年、日本企業の風土・体質改革を支援するスコラ・コンサルトを設立。これまでに延べ800社以上を支援し、文化や風土といった人のありようの面から企業変革に取り組む「プロセスデザイン」という手法を結実させた。著者に『なぜ会社は変われないのか』『なぜ社員はやる気をなくしているのか』『成果を出す会社はどう考え動くのか』『日本起業の組織風土改革』など多数。近著に『「できる人」が会社を滅ぼす』がある。
(構成=岡村繁雄)