「管理職になってよかった」8割の女性が自信を持つ
経営トップの力の入れようも並ではない。14年11月には管理職試験を受ける全国の女性社員約200人を一堂に集め、田中孝司社長自ら1時間にわたり女性活躍に取り組む姿勢を語った。
一方、14年には間瀬室長と前ダイバーシティ推進室室長の2人で女性管理職候補者約200人全員と個々に面談した。「仕事や私生活を含めた様々な悩みや相談を受けました。管理職になるのは自信がないという人も少なくないですが、私にもできるかなと言ってくれる人も増えています」(間瀬室長)
さらに育成を担う男性管理職に対する研修も実施。参加者は外部講師から「若いときに成功体験や仕事のおもしろさを知ることで会社への貢献意欲も上がってくる。勇気を持って女性を鍛えなさい」と叱咤(しった)激励を受けた。
とはいっても管理職になるのは容易ではない。過去の人事評価と複数の業務経験、それに語学力の要件をクリアした人が本部長推薦で試験を受けて決まる。しかもライン長は管理職の中から選ばれるだけにさらに狭き門となる。14年秋にアンケート調査を実施した結果、管理職の8割以上、ライン長の7割強が「昇格してよかった」と回答している。
独自の取り組みで興味深いのは、11年から始まった「役員補佐」だ。社長を含む5人の取締役に原則、男女各1人の管理職が1年間補佐として付き、役員が出席するすべての会議に同席。経営の意思決定など生で経営を学ぶ。
現在、女活法の施行に向けて、間瀬室長は「行動計画の数値目標についてはライン長比率7%を上回る数字を目指したい。そのためには若手の女性社員に対してライフイベントを前にしたキャリア意識の醸成やキャリアプラン作成など、取り組みを一層強化していきたい」と意気込む。