三要素をそろえることで効力を発揮
相手を力づける質問は、大きく3つの要素で成り立っています。その3要素とは、(1)肯定的、(2)支援的、そして(3)未来視点です。まず、1つめの肯定的であるとは、相手の発言内容や意見を否定しないことであり、できていない点よりも既にできている点に焦点を合わせるような質問です。例えば、「なぜできなかったのか?」や「何がうまくいかなかったのか?」というように過去のできていない部分を確認してしまうと、相手を責めるような口調になりがちです。そこで、「できている部分はどこか?」「うまくいっている部分はどこか?」とポジティブな面に着目することが重要になります。
2つ目の要素は、支援的であることです。支援的な質問とは、相手を責めたり突き放したりせず、一緒に問題を解決しようとする質問です。例えば、何か問題が起こった時に「(あなたは)何をしたのか?」「(あなたは)なぜそうしたのか?」と相手の行動ばかりを聞くと、必然的に責め立てるような印象を与えてしまいます。責められたと感じたら多くの人はモチベーションが下がってしまうのではないでしょうか。大事なのは、質問が個人攻撃にならないように、自分も一緒に考えていると伝わるような質問をすることです。例えば、「(私たちは)どうすればよいか?」と主語を変えてみたり、「あなたがそうしてしまったのは、何が原因だったのだろうか?」と人ではなく原因に視点を当ててみたりすることが有効です。
3つ目の要素は、未来視点であることです。私たちは普段、現在や過去についてばかり質問してしまいがちですが、その視点を未来へ向けることで新しい発想を思い浮かべられます。逆に、終わってしまったことや現在の変えようのない事実について質問しても、問題は解決されませんし、状況はいっこうに改善しません。「なぜ○○をしなかったんだ?」と問いかけるのではなく、「これからどうしたらよいだろうか?」と未来に視点を向けた問いかけを行うことで、相手の意欲をそがずに建設的な話し合いができるようになります。
ここで重要なのは、力を与えるような質問をするためにはこれら3つの要素いずれもが重要だということです。たとえ肯定的で未来に焦点を合わせていても、相手を突き放したような質問ではやる気を失ってしまいます。そして、こうした質問というのは言葉でどのように伝えているかという点も重要ですが、その質問をどういった表情やトーンで伝えているかも大事になってきます<参考記事:リーダーは要注意! 「間違った問いかけ」で部下を追い詰めてはいませんか?(http://woman.president.jp/articles/-/724)。