男職場で60人の部下を持つ女性事業部長
【白河】今後女性に期待したいことはなんでしょうか?
【高橋】女性社員の多くがカウンターの営業を中心に担当しているんですが、今後、商品企画などの分野にもどんどん出ていってほしいと考えています。旅行商品の決定権はほとんど女性が持っていらっしゃる。女性のニーズをくみ取れる商品づくりというのは、これからますます求められます。また、若い社員を1年間海外のグループ会社でグローバル感覚を身につけてもらう研修を実施しています。3年間で200名を目標にしてます。ここでも女性のほうが優秀で、半分位は女性が選定され、海外に出ています。
【白河】女性の管理職への目標数値をおっしゃっていましたが、そちらの意識はどうでしょうか? 女性は自分から手をあげて管理職にはならないようなところがありますが。
【高橋】やはり女性が上にいくような環境で育ってきていなかったのと、女性自身の意識の問題と両方じゃないでしょうか? 自分からはいかなくても、推されるとやろうと思うように、流れをつくっていかないと駄目ですね。先ほど出てきたJTB首都圏という会社はほとんどを女性が占める会社なんですけれども、別に渉外営業をやる会社でJTBコーポレートセールスという法人営業を中心とする会社では、そこは逆に男性中心で、修学旅行の営業などをするので、どうしても放課後にうかがうなど、長時間労働になる。そこでも、ひとり女性の事業部長が、60人ぐらい部下を従えるような例が出てきています。女性は事業部長になれないという固定観念が、象徴的な存在がいるとどんどん払拭されていくんです。
【白河】女性の昇進への意欲を促すには、環境と意識、両方の働きかけることが大事なんですね。管理職への流れが出てくると、その流れにのろうとする女性も出てくるはずです。今日はお忙しいところありがとうございました。
少子化ジャーナリスト、作家、相模女子大客員教授
東京生まれ、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。婚活、妊活、女子など女性たちのキーワードについて発信する。山田昌弘中央大学教授とともに「婚活」を提唱。婚活ブームを起こす。女性のライフプラン、ライフスタイル、キャリア、男女共同参画、女性活用、不妊治療、ワークライフバランス、ダイバーシティなどがテーマ。講演、テレビ出演多数。経産省「女性が輝く社会のあり方研究会」委員。1億総活躍会議民間議員。著書に『女子と就活』(中公新書ラクレ)、共著に『妊活バイブル 晩婚・少子化時代に生きる女のライフプランニング』(講談社+α新書)など。最新刊『格付けしあう女たち 「女子カースト」の実態』(ポプラ新書)。
構成=白河桃子 撮影=永井 浩