WORK & LIFE~分離せず、統合して健やかに生きる

エリザベスは「ワーク ライフ バランス」ではなく、「ワーク ライフ インテグレーション」が重要だと言う。

「バランスと言うと、どうしても両方を同じ割合で均衡させるというイメージがあるんですが、そうではなくて、インテグレート(統合)するということではないかと思っています。

“会社に何か貢献をしている”という意識と、“自分の目的を達成できている”という意識を持てると、家族を犠牲にしているという罪悪感も減るのではないでしょうか。

私自身は、ダイバーシティやインクルージョンに関する仕事を通じて、働いている企業の範疇を超え、私たちが属する社会やコミュニティに影響を及ぼすことができると考えています。

1人の女性社員がキャリア領域を広げることで、あるいは男性マネージャーが多様性を学んで包括的な方法で指導できるようになることで、まず社員が変わり、その影響は家族やコミュニティに広がるのです。

私にとって仕事と家族は分離していてバランスを取るものではなく、統合していくものなのです」

まずは企業側が多様性を本質から許容し、雇用される側も仕事と家庭の包括的な関わり方を意識的に模索する。それぞれがクオリティ・オブ・ライフを高く掲げ、それが地域や社会へ好循環に影響を及ぼすことができれば、自ずと日本の未来も明るいものになるはずだ。

グローバル社会を生き抜いていく日本企業が、長い目で見た人材確保のために、ダイバーシティを推進していかなければならないことは事実だ。その判断が経営者に、また働く側にも今問われている。(本文敬称略)


エリザベス・ニエトさんのお気に入り

 ■感銘を受けた本  『Covering -The Hidden Assault On Our Civil Rights』  KENJI YOSHINO著(Random House

 ■モチベーションをあげるもの  D&Iに関する仕事
……ダイバーシティとインクルージョンに関する仕事は、周囲を変えていけると確信しています。そのことこそが私のモチベーションの原動力です。

 ■癒すもの  アフリカンダンスと料理
……アフリカンダンスは、太鼓の音色とリズミカルな動きが大好き。料理は、最良のリラックス方法であり、家族と話をしながら時間を過ごせるすばらしい方法です。

 ■お気に入りのおやつ  アルファフォル(ドゥルセ・デ・レチェを挟んだクッキー)
……アルゼンチンの甘いクッキー。これが家にある時だけは、自分を甘やかします。


撮影=貝塚純一