職場ではすでに混乱も。金融業の人事課長は「昇進審査では『女性枠』というものが存在しています。本来は課長にふさわしい経験と能力があるかを審査しますが、女性に関しては『女性のわりには優秀だよね』といった視点で昇進させる。げたを履かせて昇進させていることが職場にも伝わり、逆差別ではないかという声も上がっています」と指摘する。

また、課長になることを望んでいる女性が多いとも限らない。形だけ昇進させても本人も周りも不幸になるだけ。建設業の人事課長は、「トップの意向で史上最年少の女性課長を誕生させました。2段跳びの昇格ですが、部下を率いる課長ではなく、専門職課長です。人事としてもさすがにマネジメント能力のない女性を管理職に据えるわけにはいきませんので、今のところは部下なし課長に昇進させてしのいでいます」と語る。

しかし、現状は政府目標の30%からほど遠く、6.6%(2013年度雇用均等基本調査)にすぎない。20年までに3倍以上に引き上げなくてはならない。無理押しの数値達成で果たして誰が幸せになるのだろう。