【白河】やりがいがある仕事をしたいという志向は全く悪いものではなく、それを提供する会社の構造が悪いんじゃないですか?
【中野】そうですね。「やりがい」はあるにこしたことはない。ただ、それとワークライフバランスなど別のものがトレードオフだったときに、じゃあ仕事すること自体辞めてしまおうというのは確かに極端なのかもしれません。
【白河】「やりがい」を奪われるとモチベーションが失われるので、育休復帰後は仕事の量の転換はあっても質の転換はしないほうがいいというのが、最近の女性活躍推進の定説になっていますね。
【中野】そういう教育を受けてキャリア観を身に着けてきた世代で、しかも夫の所得がある程度ある層だからこそ、「やりがい」を全く落としてしまうと、総合職の女性活用は失敗すると思います。高付加価値の総合職の仕事と、ルーティンワークやサポート的な仕事は明らかに差があります。15人の中でも「子育てすると一人前に扱ってもらえない」ことに苦しんだ人が多かったですね。これが男女、子どもがいる・いないに関わらず降り掛かる問題ならまだしも、能力や生産性にかかわらず妊娠・出産した女性にだけに降り掛かるのは、企業としても人材の無駄遣いをしていると思います。