グローバル化で言語としての英語が強くなる
【三宅義和・イーオン社長】一般財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会(IIBC)では、TOEICプログラムを運営する一方で、グローバル人材育成に対しても、積極的な取り組みをされています。「GHRD(グローバル・ヒューマンリソース・デベロップメント)」ではどのようなことをされているのですか。
【山下雄士・IIBC常務理事】今は主に2つのことを推進しています。1つは「Global Manager」(グローバルマネージャー)というウェブサイトです。コンテンツとしては、海外で経験された方の体験談の掲載、海外戦略のための特集、英語のスキルアップに役立つ連載などがアップされます。対象は、これから海外に出て、活躍しようとしている人、あるいは海外赴任をするビジネスマンや国内において海外とのビジネスに携わるのに必要な情報を提供しています。
2つ目は「地球人財創出会議」と言いまして、毎回、各業界の人事役員クラスや大学教授といった人を講師に招いて、テーマを設定して進めます。参加者は30人前後で、参加者がそれぞれ、グローバル人材をいかに育成していくのか。あるいは人事運営、組織運営、海外の事業所の運営をどうしたらいいのかといったテーマで学び合うわけです。講師の人も、現場で苦労をされてきていますので、非常に参考になる貴重な情報が得られると好評です。
【三宅】確かに、人の話を聞き、社外の意見を聞くことは必要です。やはり、常に触発されるということは大事です。山下さんは「グローバル化」をどのように考えているのですか。
【山下】そうですね。これはIIBCというよりも、私の個人的な見解なんですけれども、長い人類の歴史から捉えるとわかりやすいかもしれません。つまり、人類が進化するのにはパターンがあるということです。1つは突然変異で、ある種の能力が備わってくる場合。あと1つは、異民族同士が交わっていく過程で、新しい文化が生まれてくるというものです。
世界が大きく動くという観点からしますと、今日ほどのスピード感はなかったにしても、歴史的には常に、世界地図は塗り変わってきました。紀元前には、アレキサンダーの東征、ローマの拡大、中世になると、モンゴル帝国がヨーロッパまで拡大した時期もあります。また、大航海時代には、ポルトガルとスペインが世界の海を支配してきます。こうした時代には、交易が盛んになって、人々の移動も文化の交流も活発化し、武力による支配や帝国主義というマイナス面はありますが、文明の衝突によって化学反応が起きるようなプラス面もあったはずです。
現在のグローバリゼーションというのも、ある意味では、そういう世界史的な流れの一環だと思うんです。1989年、ベルリンの壁が崩壊後、特に加速します。その特徴は、アメリカ的市場経済、英語、インターネットそしてスピードです。そこでは多くの情報がやり取りされますが、ほとんどの場面で英語が使われます。