月収40万の人が毎日1時間無駄にすると、時間泥棒の額は年間約60万円!重大な“生活習慣病”を生み出す、人間の奥底にある心理とその処方箋を“習慣化”の権威が解説

時間泥棒防止には「足し算発想」から「引き算発想」へ

習慣化コンサルティングの古川武士氏が、脱完璧主義のモデルとしてあげるのが、出産・育児休暇を経て職場復帰した女性社員だ。彼女たちは育児との両立を目指し、夕方早めに子供を保育園などに迎えにいかなければならないため、仕事の時間効率化の意識が極めて高い。短い時間で仕事のパフォーマンスをあげるため、時間配分を以前とはがらりと転換したのだ。

「彼女たちに学べるのは、勇気を持って仕事をあえて“捨てる”ことです。自分ですべてをやらないと気が済まない人は仕事をたくさん抱え込む傾向が顕著です。だから、どうしても期限が先延ばしになるし、決断が鈍って仕事が停滞する時間や、残業など自己犠牲の時間も増えます。彼女たちはそうした働き方ができないので、PDCAのサイクルで時短を徹底させるとともに、部下など人に任せられる部分は任せる。仕事の要点を押さえて、メリハリをつける。八方美人になるのをやめて時間の使い方に自分なりのイノベーションを起こしたのです」(古川氏)

頑張り屋さんの多い日本人、とりわけ成長欲求の旺盛な若い世代は、仕事をバリバリこなし、予定をどんどん増やしていく「足し算発想」のビジネスパーソンが多いだろう。

だが、当然のことながらそうやって欲張るほどに、バッファ(予備)の時間は削られ、また予定通りに仕事を消化できないと、逆にストレスもたまってしまう。そこで、逆転の発想だ。

「もっと自分の評価を上げたいとノルマを増やしていくと、一時的に自分が進化したような気持ちになります。でも、それには限界もある。だから、一度、『引き算発想』をするといいと思います。前述したように、自分の心理を把握しつつ飲み会参加を減らしたり、マメにメール返信するのをやめたり、人に仕事を任せたり。職場の環境や忙しさによってそれらが不可能な人もいるでしょうが、まずはゆとりのあるスケジュールからリスタートすることで、時間泥棒的な生活サイクルを改善できるのです」(同)