使用済核燃料再処理は最重要課題

原子力政策を考えていく上では、原子力発電そのものはもちろんのこと、原子力発電によって生ずる使用済核燃料の取扱いも、最重要課題の1つとなる。

2015年11月30日の経済産業省・原子力小委員会WGは、原子力発電所の使用済核燃料の再処理事業に責任を持つ認可法人の新設などを柱とした見直し案をまとめた。今年4月に電力小売自由化が予定されているが、それによって原発を保有する電力会社の経営が厳しくなることも予想される。今回の見直し案は、自由化による競争環境の変化にかかわらず、電力会社の共同事業として進めてきた核燃料サイクル事業が今後とも安定的に続けられるよう、〈1〉いわば国家管理を強化することと、〈2〉既に技術・人材が蓄積している日本原燃の民間活力の発揮を促すことの両立を図ることが目的だ。

具体的には、(1)政府の認可法人を新設し、これまで再処理事業を運営してきた日本原燃株式会社(青森県六ヶ所村)に事業を委託する、(2)その新法人の事業計画決定に国の関与を強める、(3)事業資金について、電力会社からの積立金という現行方式を変更し、電力会社が原子力発電量に応じて拠出金を出す、(4)プルトニウムをMOX(ウラン・プルトニウム混合酸化物)燃料に加工する事業も拠出金の対象とする、など。

核燃料サイクルに伴う使用済燃料の再処理事業とMOX燃料加工事業は、自由化によって電力会社間の競争が進み、原発依存度が低減していく場合であっても、安定的な事業の実施と継続が求められる。撤退が自由な株式会社という組織形態を継続することへの懸念は大きい。新法人の形態を政府の認可法人にするとともに、日本原燃に既に蓄積されている核燃料サイクルに係る技術や人材を有効活用することが最も合理的な選択であることは間違いない。その意味でも、今回の経産省による見直し案は妥当な線に乗っていると私は考えている。

新法人が核燃料サイクル事業の実施主体である以上、その安全に係る全ての責任は新法人に帰属する。そうした安全対策も含めて、日本原燃側と地元側(青森県と六ヶ所村)の間の基本ルールを定めた『原子燃料サイクル施設の立地への協力に関する基本協定書(昭和60年4月18日)』というのがある。これに関して、新法人を新たな協定当事者として組み込んだ形で締結し直す必要がある。