夢、楽しみ、喜びを味わう仕事

できることなら好きな仕事をしたい。楽しくて、やりがいのある仕事がしたい。でも、現実はそうもいかない。つまらなくても、イヤでも、辛くても、食べていくためには働かなければいけない。このご時世、仕事があるだけでも幸せともいえるが、でも、それだけではやはり寂しい。

本書は、本業とは別の仕事を、週末などの休日を生かして、「二足目のわらじ」として履いてみてはどうだろうかと提案する職業ルポルタージュ。とはいえ、いわゆる副業紹介、サイドビジネスのすすめではない。おカネになるか否かは二の次。謝礼やわずかな報酬は得られるかもしれないが、それよりももっと個人的なやりがいや夢、楽しみ、喜びを味わうための仕事。著者は「世のサラリーマンたちが、いまの仕事を続けながら、みんな『こんな仕事を持っていられたらいい』と思われる職業紹介」と述べる。

『日曜日のハローワーク』小田豊二著 東京書籍

だから、取り上げられる職業も世間ではあまり知られていないユニークなものばかり。ミュージシャン、露天商、大相撲のタニマチ、クラウン(パフォーマー)、コンビニアイス評論家、農家民宿主人、フラメンコ・ダンサー、モデラー(ジオラマ作家)など。収入を得ている人もいれば、ボランティアの人もいるし、趣味が高じて本業になった人も。著者は聞き書きの名手だけに、単なる職業案内にとどまらず、話し手の人柄、魅力が伝わってきて人物伝としてもおもしろい。

毎日忙しくて、週末にそんなことする元気なんてないよ、という人もいるだろう。定年になって時間ができたら何か始めようかとか。でも、「定年になってからじゃ絶対、遅いですよ」と、本書に登場するモデラー氏(本業はシステムエンジニア)はアドバイスする。

確かにそう思う。年を取れば取るほど頭は固くなるし、フットワークも悪くなる。だいたいずっと会社人間だった人は、外で人間関係を築くのが苦手で、地域に知り合いもおらず、定年後は家に閉じこもりになりがちになり、あげく妻に「濡れ落ち葉」なんていわれて煙たがれたりする。二足のわらじはなるべく早く始めることである。