「誰も自分の苦悩なんかに耳を傾けない」

まあ、ケアマネは激務だと聞きますし、人によっては30件近くを担当している。個別の悩みなど聞いていられないということもあるでしょう。介護というサービスを担うのですから、「もう少し親身に話を聞いてくれても」と思いますが、運よくいいケアマネに当たらない限り、相談者として期待できないのが現状です。

こんな時、近所や親せきに介護体験者がいると助かります。

体験者は誰もが多かれ少なかれ辛い思いをしていますから、相談すれば親身になってさまざまなアドバイスをしてくれるものです。ただ、近所づきあい、親戚づきあいが希薄になっている現代、そうした相談相手がいる人は少数かもしれません。

ということで要介護者を抱える家族は誰にも悩みを聞いてもらえず、すべてをひとりで抱え込み、孤立していってしまう。

日々の介護は大変ですし、認知症が加われば精神的にも疲弊。介護に時間を割くために仕事を辞めざるを得なくなって、経済的に困窮するケースも多いようですし、虐待などの悲しい事態も起きることがあります。そんな風に介護者はどんどん追い詰められていくわけです。

そうした悩み、悲劇を救ってくれるところはないのでしょうか。

対応をする組織としては「社会福祉協議会(社協)」があります。社協は地域の福祉課題の解決に取り組み、地域福祉の推進を図ることを目的とする団体で、各都道府県や市町村に設置されています。

公的な組織だと思われがちですが、実は自治体からの補助を受けて運営される民間の非営利組織。高齢者福祉ももちろん事業に含まれています。が、その名称や字面から、介護の悩みを相談するには敷居の高いイメージがぬぐえません。

各社協には相談窓口もありますし、「ふれあい・いきいきサロン」という地域住民が集える拠点づくりも行っています(現在、全国に5万2000以上のサロンがあるとのこと)。だから、思い切って訪ねて相談してみれば案外、親身に悩みを聞いてくれるのかもしれません。