海外のがん患者団体の国際会議に参加したときに知ったのが、イギリスのマギーズセンターだった。患者や家族、医療者が自由に利用でき、様々な専門的な支援を無料で受けることができる憩いの場所。設計から建築、運営まですべてが寄付でまかなわれている。カウンセリングや栄養、運動指導や、助成金、医療制度の相談もできる。
「マギーズこそ、私がずっとつくりたいと思っていたがん患者や家族のやすらぎの場所そのものでした」
すでに日本でマギーズ設立に向けて活動していた訪問看護師、秋山正子氏を訪ね、意気投合。その後、14年5月に共同代表としてプロジェクトを立ち上げ、12月にNPO法人の申請を行った。建設費用の一部、700万円を集めようと行ったクラウドファンディングでは、異例の2200万円を集め、話題となった。
本業優先だからこそ、二足のわらじのバランスが取れる
資金集めや勉強会、ミーティングなど駆け回る日々が続く。ただ、あくまで本業が優先。マギーズ東京のミーティングは早朝か深夜に設定し、遅れてでも参加するという。医療関係者の朝勉強会などに招かれることもある。ただし、相手先には「本業の予定が入れば、キャンセルさせていただくこともあります」と事前に説明をしておく。平日も週末も、この二足のわらじは続くが、本業優先とルールを決めていることで、それぞれに与えられた時間に集中ができる。ここ数年愛用してきた手のひらサイズの小さなデイリー手帳は、常に予定でいっぱいだ。
取材や記者会見前の待ち時間に、手帳を開いて予定を整理する。TO DOリストも一緒に書いておくことで、一目で見直しができるようにしている。
「15年度中にオープンしたい。そのために、今年は16年3月までの大きなものを買いました」と、決意を新しいスケジュール帳に託した。