授乳しながら考え抜いたプロジェクト
そもそもは昨年8月に出産した二葉さんが、子どもに授乳しながら「なぜ女性管理職が少ないのか?」と考え抜いたことから始まります。
「弊社の課長の5割が営業部門に在籍しています。ところが、他部署では女性課長が3割を占めるのに営業では2割もいない。20代女性の7割が営業で、表彰されるのも半分は女性なのに、なぜ役職者が増えないのか?」
女性が役職に就くのを望んでいない「意識の問題」とよく言われます。しかし「女性が昇進を望まない、望めない要因があるのでは?」と二葉さんはこの企画を思いつきました。
「その構造の問題を発見し、個人の悶々とした悩みから課題を抽出し、解決策を練る……。しかし1社では気づいてもらえないし、アクションも遅い。複数の企業で本質的な問題を直視する機会が必要と、上司を説得し、プロジェクトを立ち上げました。複数社が訴えることで社会へのメッセージにもなる」
一石二鳥以上の効果を狙ったプロジェクトは見事に成功しました。
まずは参加した営業女性たちの「意識の変化」です。
異業種の営業女性が集まることで、営業の種類は違っていて個別の問題はありますが、本質的な問題が浮かび上がってきました。
「みな12~13時間は働いていることがわかりました。根っこの問題は同じでした。営業は好きだし、おもしろい。でもこのままの働き方、労働時間で子育てと両立しながら継続できるとは思えない。管理職になることも考えられないのです」
そういう杉野由宇さん(29歳 リクルートキャリア 広告営業)は昨年結婚したばかり。
「26~27歳までは走ってこられる。でもその後はこのままでいいのか、あと何年続けられるのかと思い、職種の転換を考えていました。でもエイジョカレッジを経験したあとは、営業を続けたい、管理職にもなりたい、現場から女性が活躍する場を創っていきたいと思うようになりました。気づいたのは職種転換してゼロリセットするよりも、意外に時間の融通がきく今の職種の強みを生かせるということです」
西夏子さん(29歳 キリンビールマーケティング 営業部)も言います。
「自分がどうしていきたいかとか、会社に対して何ができるかとか、どんな働き方をしたいかを、伝える重要性をすごく実感しました。年度末の面接で去年は深く突っ込まなかったところを上司と話せたのは、この経験があったからだと思います」