4.自分だけ勝てばいいと相手を見下していないか

様々なステークホルダーがWin-Winであることが、発展の条件。

1980年代、日本企業が世界を席捲していたころ、世界には“ジャパン・バッシング”という言葉があった。日本車や日本製の電化製品が売れまくったために、とりわけ国内メーカーの製品が売れなくなったアメリカを中心に日本叩きをしたのである。

現在も海外でビジネスをしていると、日本企業への警戒感のようなものを、地元の人々から感じる。確かに、現地で愛されないというのは、日本企業のグローバル戦略の失敗というしかないだろう。

だから、アジアや世界市場を相手にしようというなら、Win-Winの関係構築が必須だ。ただ自社製品を売って儲けるだけではなく、その国で展開するビジネスモデルは、現地のパートナーや顧客に喜んでもらえるものでなければいけない。

Win-Winを考えることは、単なるテクニックではない。それは人間関係の全体的な哲学である。

きれいごとを言っているのではなく、長い目で見たときに、企業の存続と繁栄には相手への誠実さと社会貢献が必須なのだ。

例えばインドで電動バイクを売ろうとするとき、僕はまず先方の代表が何を大事にしているかを理解することから始める。ロングタームの成長なのか、雇用なのか。それが一致していないと、価値観にずれが生じてしまい、良好なパートナーシップは築けない。コヴィー博士が強調する相互依存の考え方は、経営理念のなかに、しっかりと位置づけるべきだと僕は考えている。