企画を揉むうちに変えること

「転職した直後で、ほかの業務のしがらみもなくて、オフィスで新しい次のゲームの企画のことだけ考えられたというのはすごくラッキーだったと思います。次の企画だけを考える時間はなかなかないんですよね」(山本氏・写真はパズドラが生まれた山本氏の机)

いいゲームは、α版という一番最初のプロトタイプの時点で、すでに面白いことが多いですね。パズドラも、そうでした。そこからさらに、開発チームであれこれ話し合いながら、どういう形に仕上げていくかを練り上げていくわけです。根幹となる部分以外は最初にあまりカチッと決めず、作りながら考えていく感じです。

ターゲットユーザーは、最初のほうからしっかりと意識します。パズドラの場合、いわゆるゲーム好き以外のカジュアル層、たとえば主婦層に特に遊んでほしいという願望がありまして。プレーされるシーンも想定します。電車の中とか、主婦だったら昼間子供が幼稚園に行っている間とか、寝るちょっと前だとか。あるいは、それぞれの状況だとワンプレーでだいたい何分ぐらい遊ぶのか。そのへんは全部意識して、企画に反映させます。

「嫁レビュー」もしました。普段あまりゲームをしない妻に、プロトタイプをテストしてもらい、意見を聞いたのです。パズル画面に並ぶ色違いのドロップの数をいくつにするかも、嫁レビューの結果、誤操作の少ない6個×5個に決まりました。プロトタイプがバージョンアップするたび、妻にチェックをお願いしました(笑)。非常に感謝しています。

僕自身は、自分がアイデアマンだとは思っていないんです。パズドラの場合、最初のうちは僕を含めて4人の開発者で作っていたんですけど、ほんとにみんなでブレストしながらあれこれ意見を出し合って決めていく感じでした。最終的にどんな要素を入れるかを判断するのは僕なんですが、僕一人の知恵で作ったわけではありません。