女性がいないと会社はもたない

【松本】僕は「ダイバーシティをやらないと会社はよくならない」とはっきり言っている。最初はわからなくても、話の仕方によっては、みんなも理解してくれるんです。

例えば読売巨人軍。昔のオーナーは「巨人軍は純血だ」、日本人だけでやるんだと言っていたんです。しかしそんなことやっていたら負けるに決まっているじゃないですか。だから読売巨人軍でも変わるんです。サッカーでも、今、日本人だけでは勝てないでしょう。今、横綱が3人いるけど、みんなモンゴルの人。外国籍だからといってハンディがあるわけでなく、単純に強い人が強くて、弱い人が弱いだけです。

20世紀後半から始まったグローバライゼーションの競争の中、勝っていかないといけないわけです。昔は「勝つか負けるか」だったんですが、今は「勝つか死ぬか」なんですよ。

かつては日本人だけで、護送船団方式で、勝ち負けはあってもみんな残れたわけでしょう。今は残れないんです。負けたら死ぬしかない。そうなると使えるリソースはすべて使わないと。リソースの中で一番大事なのは人間です。勝つためには優秀な人を集めて、その人たちを鍛えてさらによくする、それしか手がないわけです。

会社の経営者としては、男女同権とかそういう問題じゃない。女性を使わないと会社はもたないんです。世界の企業は、そんなことはもうとっくの昔にわかっている。ジョンソン・エンド・ジョンソンなんか、何十年も前から言っています。

男であろうが、女であろうが、国籍、宗教、年齢、一切問わず、優秀な人を使わないともたない。それがグローバルな競争社会です。

【白河】しかし、そういった危機感を持って「変わらねば……」と思っている経営者の方はまだ少ないような気がします。どうしても「ダイバーシティで利益が出るの?」という話になっていくのが経営だと思うのですが……。マッキンゼーの調査結果では「世界の企業で調査した結果「女性のプレゼンス(存在感)が高い企業のほうが業績がいい」となっていますが、日本ではどうなのでしょう?

【松本】その相関は求めません。僕は頭が悪いから、簡単なことを簡単にやっているだけです。利益は出していくしかない。変革はチャレンジであり、リスクが伴うに決まっています。カルビーでダイバーシティをやった結果、カルビーの業績が悪くなったら、僕はクビになる。そのリスクをとって推進しているわけです。ダイバーシティをやらない限りは経営はうまくいかない、そう信じているからやるんです。