CHIPS法で日本企業も大きな恩恵
CHIPS法の追い風を受けた米国の半導体国内回帰政策は、中長期的に見ても関連企業の業績や成長機会にプラスの影響を与えると考えます。
まず、シンプルに米国の半導体メーカー(インテル、マイクロン・テクノロジー、テキサス・インストゥルメンツなど)やファウンドリ(インテル〔ファウンドリ部門〕、グローバルファウンドリーズ)は、巨額の補助金を受けつつ設備投資を拡大できるため、競争力強化と市場シェア奪還への追い風となります。
実際にインテルは、最先端CPUの製造強化と他社からの受託生産(ファウンドリ事業)を加速させ、TSMCやサムスン電子に対抗すべく技術開発を一段と進めています。
マイクロン・テクノロジーは国内に最新DRAM工場を構えることで、AI需要拡大を背景としたメモリ市場の果実を自国で享受できる立場となります。
グローバルファウンドリーズやテキサス・インストゥルメンツのように成熟ノードで強みを持つ企業も、地産地消ニーズの高まりから安定した設備稼働率と堅実な収益が見込めるでしょう。
さらに、半導体メーカーを取り巻く製造装置・材料サプライヤー各社にも恩恵は波及します。シンプルに「半導体メーカー・ファウンドリの巨額の設備投資=製造装置や材料の需要アップ」というロジックです。
露光装置のASMLホールディング(オランダ)、エッチング装置のラム・リサーチ(米国)、CVD装置のアプライド・マテリアルズ(米国)など世界トップの装置メーカーでは、すでに米国内向けの大型受注が相次いでいます。
日本企業に目を向けても、東京エレクトロン、ディスコ、SCREENホールディングス、アドバンテスト(以上、装置メーカー)、信越化学工業、JSR、レゾナック・ホールディングス(以上、材料メーカー)などでは米国工場向けの受注増加が期待できます。
CHIPS法は投資家にとって注目すべき重要政策
CHIPS法が促進するのは米国内の投資ではありますが、米国のサプライチェーンには日本や欧州の装置・材料メーカーも多数含まれるため、グローバルに追い風が吹くのです。これを「CHIPSウェーブ」と呼びたいと思います。
もちろん、巨額に及ぶ補助金の効果を最大化するには、人材育成や順調な工場の立ち上げが不可欠であり、短期的には技術者不足や建設コスト高騰といった課題も指摘されています。投資家としては、各プロジェクトの進捗を注視しつつ、政府支援による収益押し上げ効果が実際に現れてきている企業を見極める必要があります。
しかし長い目で見れば、半導体という国家戦略産業に対して、官民挙げての後押しが続くことは企業価値の下支えとなり、ひいては半導体セクター全体の安定成長につながると期待されています。
半導体は現代の石油ともいわれる基幹分野であり、資本主義の王者である米国が国内への回帰を促すCHIPS法は、投資家にとっても注目すべき重要政策といえるでしょう。これも、メガ潮流のひとつの側面であると思います。
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